第1章 高校生の扶養控除とは何かを正しく理解する

高校生のお子さまがアルバイトを始めたとき、必ず話題に上がるのが「扶養控除」です。
扶養控除とは、親が所得税や住民税を計算する際に、家族を養っている分だけ税負担を軽減するための制度です。
高校生(16歳〜18歳)は法律上「一般の控除対象扶養親族」に分類され、一定の控除額が認められています。
現在の制度では、親は以下の控除を受けられます。
- 所得税は38万円
- 住民税は33万円
これは、親の課税対象となる所得から上記の金額を差し引けるため、結果として税金が安くなる仕組みです。
さらに重要なのは、高校生本人がアルバイトでいくら稼いでも、親の扶養控除は基本的に影響を受けない点です。
よくある誤解として「103万円を超えると親の扶養から外れる」という話がありますが、それは高校生には該当しません。
103万円はあくまで「本人の所得税の基準」であり、親の扶養控除とは別の概念です。
ただし、2025年度以降は制度の見直しが検討されており、今後の税額に影響する可能性があります。
扶養控除は家計にとって大きなメリットとなる制度のため、最新の動向を正確に把握することが必要です。
第2章 高校生の扶養控除の基本制度を正しく理解する
高校生がいる世帯では、扶養控除が家計に与える影響が大きく、制度を正しく理解しておくことが重要です。
現在の税制度では、高校生は「一般の控除対象扶養親族」に区分され、所得税と住民税の控除が適用されます。
まずは、現行制度の内容を明確に整理しておきます。
高校生に該当するのは、年齢区分として 16歳から18歳まで です。
この年齢帯に該当する子どもを扶養している場合、親は所得税で38万円、住民税で33万円の控除を受けることができます。
これにより、課税所得が減少し、結果として所得税と住民税の負担が軽減されます。
この控除は、親の所得額にかかわらず一律で適用されます。
たとえば、給与所得者であれば、年末調整時に扶養控除等申告書へ必要事項を記入するだけで自動的に控除が反映されます。
自営業やフリーランスの場合でも、確定申告時に扶養親族として申告することで控除が適用されます。
また、高校生のアルバイト収入に関しては、一定の条件を満たせば扶養控除が引き続き適用されます。
高校生本人の所得が年間48万円以内であれば、親の扶養控除は維持されます。
これは、所得税の基礎控除額が48万円であるためで、アルバイト収入が多少あってもすぐに扶養から外れるわけではありません。
このように、高校生の扶養控除は家計の節税効果につながる制度であり、特に子育て世帯にとって重要な役割を果たしています。
次の章では、2025年税制改正の議論が進む中で、高校生の扶養控除がどのように見直されようとしているのかを詳しく解説します。
第3章 高校生の扶養控除は本当に縮小されるのか

高校生の扶養控除については、2025年12月に政府与党が縮小の方向で検討に入ったと報道され、大きな関心を集めています。
現時点では「正式決定ではない」ものの、税制改正の議論は進んでおり、制度が見直される可能性は十分にあります。
スマートフォンで情報を追う保護者の方にとって、制度変更が家計にどれほど影響するのかは重要なポイントです。
ここでは、検討されている変更内容と、その背景をわかりやすく整理します。
扶養控除の縮小内容として検討されているポイント
政府・与党が議論しているのは、以下の控除額の“減額”です。
- 所得税の扶養控除
38万円 → 25万円へ縮小案 - 住民税の扶養控除
33万円 → 12万円へ縮小案
これらが実施されれば、親が受けられる控除額が下がるため、所得が高い家庭ほど増税感が大きくなる可能性があります。
なぜ扶養控除の縮小が議論されているのか
扶養控除の縮小が検討される背景には、大きく3つの政策的理由があります。
1 児童手当が高校生まで拡大されたため
2024年10月から、児童手当が高校生(15歳〜18歳)まで延長され、月1万円が支給されるようになりました。
そのため、別の側面である扶養控除も見直しの対象となっています。
2 高校授業料が実質無償化される予定
2026年度から、私立高校を含む授業料が実質無償化される方向で政策が進んでいます。
家計負担が下がるため、これまで控除で支援されていた部分を調整しようという狙いがあります。
3 高所得者ほど恩恵が大きい仕組みへの疑問
扶養控除は、所得が高いほど節税効果が大きいため、
「児童手当と合わせると高所得者を優遇しすぎではないか」
という指摘が出ています。
これらの理由が重なり、税制の公平性を確保するために扶養控除の縮小が議論されている状況です。
まだ“決定”ではない点に注意
ここまでの議論はあくまで検討段階であり、
✔ 税制改正大綱
✔ 国会審議
を経て決まるため、現時点(2025年)では確定ではありません。
ただし、報道のタイミングや政府の方向性から見ても、
2026年度から変更される可能性は高い
と考えて準備しておく必要があります。
第4章 大学生と高校生の扶養控除の違いを正しく理解する
高校生の扶養控除を考える際に、よく混同されるのが「大学生の扶養制度との違い」です。
実は、高校生と大学生では控除額も制度の位置づけも大きく異なります。
この章では、その違いを分かりやすく整理します。
高校生は「一般扶養」扱いで控除額が固定されている
高校生(16歳〜18歳)は、税法上 一般の控除対象扶養親族 に分類されています。
このため、控除額は以下のとおり固定されています。
- 所得税は38万円
- 住民税は33万円
この控除額は、2026年度以降に縮小される方向で検討されていますが、現時点では上記金額が適用されています。
高校生は学業中心で収入が少ないことが想定されているため、制度としては比較的シンプルに設計されています。
大学生は「特定扶養親族」に区分され控除額が大幅に高い
一方、大学生(19歳〜22歳)は、税法上 特定扶養親族 に分類されます。
この区分は、教育費がかかる年代を支援するための特別枠です。
そのため控除額は高校生より大幅に高く設定されています。
- 所得税の控除額は63万円
- 年収150万円までは特定扶養控除・特定親族特別控除の対象になる
教育費が最も高額になりやすい大学生年代を支援するため、制度として厚く保護されていることが分かります。
高校生の扶養控除が縮小検討されているのに、大学生は拡大している理由
一見すると「なぜ高校生だけ控除が減るのか」と疑問に思うかもしれません。
しかし背景を見ると制度の方向性が理解できます。
高校生向けには、すでに行政から以下の支援が拡充しています。
- 児童手当が高校生まで支給(月1万円)
- 高校授業料の実質無償化(2026年度から私立高校も対象)
一方、大学生は入学費・授業料・生活費すべてが大幅に増える年代であり、各家庭の負担が最も大きい時期です。
そのため政府は大学生世帯への支援を手厚くする一方、高校生を対象とした控除については「重複した優遇ではないか」という観点から見直しが進められています。
同じ「扶養」でも制度の目的が違う
高校生
→ 基礎的な生活・教育費を前提とした控除
大学生
→ 家計負担が急増する時期への重点支援
制度の目的が違うため、控除額にも明確な差が生まれています。
第5章 高校生の扶養控除が縮小した場合の家計への影響

高校生の扶養控除が縮小されると、もっとも直接的に影響を受けるのは「親の所得税」と「住民税」です。
控除額が減るということは、課税対象となる所得が増えるため、結果として税負担が高くなります。
この章では、制度変更が実際に世帯にもたらす負担を具体的に確認していきます。
控除縮小で増える税負担の目安
政府が検討している内容では、高校生に対する扶養控除の控除額が以下のように縮小すると想定されています。
- 所得税 38万円 → 25万円
- 住民税 33万円 → 12万円
控除額が減るということは、その分だけ課税所得が増えるという考え方になります。
増える税額のシミュレーション
一般的な税率を用いて試算すると、以下のような影響が想定されます。
所得税
控除減少額:13万円
税率:5〜10%(所得により異なる)
→ 年間 6,500円〜13,000円程度の増税
住民税
控除減少額:21万円
住民税率:10%
→ 年間 21,000円の増税
年収帯別の想定影響
世帯年収400万円前後
標準的な税率のため
→ 年間 約27,000円〜34,000円 の負担増が見込まれます。
世帯年収600万円以上
課税所得が高く、所得税率も高めになるため
→ 年間 約35,000円〜40,000円 程度になるケースもあります。
高所得層
現在、扶養控除の恩恵をもっとも受けている層
→ 控除縮小により 影響が最も大きい と考えられます。
他の支援制度とのバランス
政府は、以下の支援策が拡充されることを背景に扶養控除の縮小を検討しています。
- 児童手当が高校生まで対象拡大(月1万円)
- 高校授業料の実質無償化(2026年度開始予定)
これらの支援により「手当が増える → 税負担は増える」という構図になります。
児童手当との収支バランス
児童手当(年間12万円)
− 扶養控除縮小による増税(約3万〜4万円)
→ 年間ではプラスになる家庭が多い
ただし、「手当は現金支給」「税負担は確実に増える」という性質が異なる点には注意が必要です。
家計に与える心理的な影響
扶養控除の縮小は金額面以上に、「これまで税優遇されていた部分が減る」という心理的負担も大きくなります。
特に教育費のピークに差し掛かる高校時代は、支出が増えるタイミングと重なるため、家計管理への影響も見逃せません。
実質負担の大きさは家庭によって違う
同じ控除縮小でも負担額が変わる理由は以下の通りです。
- 所得税率が家庭ごとに異なる
- 住民税非課税の家庭は影響がない
- 児童手当の所得制限に影響が出る可能性
- 教育費補助制度への影響の有無
そのため、制度改正が正式決定した際には、各家庭が自身の年収帯を基に「どれくらい負担が増えるか」を具体的に確認する必要があります。
第6章 高校生の扶養控除の見直しで押さえておきたい今後の対策
高校生の扶養控除が縮小される可能性がある中で、家庭としてどのような対策を取るべきかを整理しておくことが重要です。
制度変更は家計に確実に影響を及ぼすため、早めに備えておくことで不安を最小限に抑えられます。
家計シミュレーションを早めに行うことが大切です
扶養控除が縮小された場合、年間で数万円単位の負担増となる可能性があります。
とくに以下のようなケースでは影響が大きくなりやすいため、家計の見直しが欠かせません。
- 所得税・住民税の負担が増える世帯
- 高校生の兄弟が複数いる世帯
- 共働きで課税所得が高い世帯
制度改正が正式に決まる前でも、試算しておくことで余裕をもった対策が取れます。
高校生の支援制度を整理しておくと安心です
扶養控除が縮小されても、政府は以下のような新しい支援を拡充しています。
家計の負担を軽減するためにも、適用条件を確認しておくことが重要です。
- 児童手当が高校生まで拡大(月1万円)
- 高校授業料の実質無償化(2026年度開始予定)
- 就学支援金制度の所得制限見直し
- 地域ごとの補助金・奨学金制度
「控除が減るから損」という一面だけで判断せず、総合的に家計へどう影響するかを把握することが必要です。
アルバイト収入とのバランスも見直す必要があります
高校生がアルバイトをしている場合、以下の2つを混同しやすいため注意が必要です。
- 親の扶養控除
- 子どもの所得税・住民税の課税対象額
扶養控除自体には「年収103万円問題」は直接関係しませんが、
控除縮小後は家計全体での影響を再計算する必要があります。
高校生が働きたい場合、
稼ぐ金額・家庭での税負担・子どもの目的
これらを整理し、最適なラインを決めておくことが大切です。
教育費の貯蓄計画を柔軟に調整する必要があります
扶養控除縮小により税負担が増えた場合、大学進学に向けた教育費の準備に影響が出ることがあります。
- 貯蓄ペースの調整
- 奨学金制度の活用検討
- NISA・つみたてNISAによる長期運用の見直し
- 生活費の固定費削減
制度変更を機に、教育費全体を見直す良いタイミングにもなります。
制度改正は「知らなかった」が一番の損につながります
扶養控除は毎年の税制改正で内容が変わる可能性があります。
高校生の扶養控除縮小はあくまで「検討段階」ですが、正式決定後は家計への影響が避けられません。
そのため、
- 最新の税制改正情報をチェックする
- 変更が決まったらすぐにシミュレーションする
- 早めに対策を取る
これらを心がけることで、家計のストレスを大幅に軽減できます。
まとめ
本記事では、「高校生の扶養控除」を中心に、現行制度から将来の見直し動向まで詳しく整理しました。
ポイントを改めてまとめます。
高校生の扶養控除は現在も大きな節税効果がある
- 高校生は親の扶養に入ることで
所得税38万円・住民税33万円の控除が受けられます。 - 扶養に入れるための子どもの収入制限は「年収103万円まで」が基本です。
ただし2026年度から「控除縮小」が有力視されている
- 所得税は38万円 → 25万円に減額
- 住民税は33万円 → 12万円に減額
- 児童手当拡充や授業料無償化とのバランス調整が理由です。
これにより、多くの家庭で年間数万円単位の増税となる可能性があります。
大学生はむしろ控除額が増えている
- 所得税63万円・住民税45万円の特定扶養控除が適用
- 2025年から年収150万円まで扶養に入れるなど、緩和が続いています。
高校生と大学生で制度が大きく異なる点は、家庭の税計画において特に注意が必要です。
家庭が今すべきこと
- 扶養控除縮小が正式決定するかを必ずチェックする
- 子どものバイト収入と扶養ラインを毎年確認する
- 家計シミュレーションを行い、増税分を早めに織り込む
- 児童手当や高校授業料無償化など他制度との総合的なメリットを比較する
扶養控除は「知らなかった」だけで年間数万円もの差が生まれる制度です。
特に高校生のいる家庭は、2026年度の制度変更が実際に始まる前に、家計への影響と準備をしておくことが重要です。
ただ・・・
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