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クロス取引は、株を買うのと同時に同じ株を信用取引で売り、株価の値動きの影響を打ち消しながら株主優待を受け取る方法です。「つなぎ売り」とも呼ばれます。12月は優待の銘柄が多く、クロス取引に関心が集まる時期です。この記事では、日本取引所グループ(JPX)と日本証券金融の説明を2026年10月20日時点で確認し、クロス取引の仕組み、かかる費用、手順と注意点をまとめました。
- クロス取引は、現物の買いと信用取引の売りを、同じ銘柄・同じ株数で同時に注文し、権利を取ったあとに現渡しで決済する
- 値動きの損益はほぼ打ち消せるが、売買の手数料、貸株料、逆日歩(制度信用の場合)がかかる。費用が優待の価値を上回ると損になる
- 逆日歩は制度信用取引の売りで発生することがあり、事前に額が分からない。一般信用取引の売りでは逆日歩はかからない
- 2026年12月末の権利付き最終日は12月28日(月)。継続保有の条件がある優待は、クロス取引だけでは受け取れないことがある
クロス取引の仕組み
| 手順 | すること | 結果 |
|---|---|---|
| 1 権利付き最終日までに | 現物で100株買い、同時に信用取引で100株売る(同じ価格) | 株価が上がっても下がっても、買いと売りの損益がほぼ打ち消し合う |
| 2 権利付き最終日の取引終了まで持つ | そのまま持つ | 株主名簿に載り、優待の権利を得る |
| 3 権利落ち日以降 | 信用売りを、持っている現物株を渡して決済する(現渡し) | 株を手放し、取引が終わる |
JPXによると、信用取引の売りの決済には、株を買い戻す「買戻し」のほかに、売った株と同じ種類・同じ数の株を自分で用意して返す「現渡し」があります。クロス取引では、手元の現物株を渡す現渡しで決済するのが一般的です。
現物の買いと信用の売りは、同じ価格で約定させることが大切です。値段の違う注文になると、差額の分だけ損益が出ます。よく使われるのは、取引が始まる前(寄付き前)に成行の注文を両方出し、同じ始値で約定させる方法です。
クロス取引にかかる費用
| 費用 | 内容 |
|---|---|
| 売買の手数料 | 現物の買い、信用の売り、現渡しの手数料。証券会社とプランで違う |
| 貸株料 | 信用取引で株を借りて売ると、売った株の代金に対してかかる |
| 逆日歩(品貸料) | 制度信用取引の売りで、株が不足したときに発生することがある |
| 配当に相当する額 | 権利をまたいで信用売りを持つと、配当に相当する額を払う。現物側では配当を受け取るため、ほぼ打ち消し合う(現物の配当からは税金が引かれる) |
JPXによると、信用取引で売った顧客は、売った株に対する貸株料を証券会社に払います。また、権利落ちで配当などの権利が株から分かれた場合、信用取引で売っていた人は、その分を補償する必要があります。
逆日歩に注意する
JPXと日本証券金融によると、制度信用取引で売りが増えて株が足りなくなると、証券金融会社が入札で株を調達し、そのときに決まった料率が品貸料(逆日歩)になります。逆日歩が付くと、その銘柄を制度信用で売っているすべての人が払い、買っている人が受け取ります。
- 逆日歩は、あとから決まる。注文するときには分からない
- 日本証券金融の説明では、品貸料には銘柄ごとの上限(最高料率)があり、権利の基準日までの日数によって引き上げられる場合(倍率適用)がある
- 権利付き最終日が週末や連休の前だと、日数の分だけ逆日歩がかかる
優待の価値が数千円でも、逆日歩がそれを上回ることがあります。はじめての人は、逆日歩がかからない一般信用取引の売りを使うほうが、費用を前もって見積もりやすくなります。
制度信用取引と一般信用取引の違い
| 項目 | 制度信用取引 | 一般信用取引 |
|---|---|---|
| 対象の銘柄 | 取引所が選ぶ | 原則すべての上場銘柄(売りができるかは証券会社の在庫しだい) |
| 返済の期限 | 最長6か月 | 顧客と証券会社で決める |
| 品貸料(逆日歩) | 取引所が発表。発生することがある | 顧客と証券会社で決める(逆日歩はかからない) |
| 貸借取引 | 使える | 使えない |
出典はJPXの「信用取引制度の概要」です。一般信用取引の売りは、証券会社が用意した株の数(在庫)の範囲でしかできません。人気の優待銘柄は、権利付き最終日が近づくと在庫がなくなることがあります。貸株料の率も証券会社ごとに違うため、口座を開く証券会社の案内で確かめてください。
クロス取引の始め方
- 信用取引口座を開く 証券会社ごとに開設の基準があり、審査がある。投資の経験や資産の状況を聞かれる
- 委託保証金を入れる JPXによると、信用取引の委託保証金は売買代金の30%以上。最低額などの条件は各社の案内で確かめる
- 銘柄を選ぶ 優待の内容、必要な株数、継続保有の条件、一般信用で売れるかを確かめる
- 費用を見積もる 手数料と貸株料、制度信用なら逆日歩の可能性。優待の価値と比べる
- 同じ価格で注文する 現物の買いと信用の売りを、同じ株数で同時に出す
- 権利付き最終日を過ぎたら現渡しで決済する
2026年の権利付き最終日
| 権利確定日 | 権利付き最終日(この日の取引終了まで持つ) |
|---|---|
| 2026年11月末(11月30日) | 11月26日(木) |
| 2026年12月末(12月30日) | 12月28日(月) |
12月31日は休場のため、年内最後の取引日は12月30日(水)です。12月の優待銘柄は12月の株主優待おすすめ【2026年版】、11月は11月の株主優待おすすめ【2026年版】にまとめています。
クロス取引の注意点
継続保有の条件がある優待は受け取れないことがある
「1年以上継続して保有」など、株主名簿に続けて載っていることを条件にする優待が増えています。権利日だけ株を持つクロス取引では、条件を満たせないことがあります。条件がある銘柄は長期保有でもらえる株主優待で解説しています。
優待の廃止や変更を確かめる
優待は会社の判断で変更・廃止されます。権利付き最終日の前に、会社のIRで最新の内容を確かめてください。優待の廃止が株価に与える影響は株主優待が株価に与える影響で解説しています。
片方だけ約定したら、すぐに対応する
現物の買いだけ、信用の売りだけが約定すると、値動きの影響をそのまま受けます。もう片方を同じ株数で注文するか、約定した側を決済するかを、すぐに決めます。
税金
国税庁の確定申告書等作成コーナーの案内では、株主優待を受け取った場合は雑所得にあたるとされています。会社員で給与以外の所得が20万円以下なら、所得税の確定申告は原則不要ですが、ほかの所得と合わせて判断してください。
証券会社と関連する記事
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楽天証券の優待向けのサービスは楽天証券のらくらく優待取引、2026年1月のクロス取引の銘柄は1月クロス取引向きの銘柄で解説しています。優待の情報集めには株主優待の情報を集めるアプリも便利です。
株価の値動きと関係なく運用したい人には、貸付型ファンドのFundsもあります。1円から投資でき、手数料は無料ですが、公式サイトのとおり元本は保証されず、運用期間中は解約できません。不動産クラウドファンディングとの違いは不動産クラウドファンディングのまとめを見てください。
クロス取引の流れは動画でも解説しています。
よくある質問
クロス取引は誰でもできますか
信用取引口座が必要です。証券会社ごとの審査があり、投資の経験や資産の状況によっては開設できないことがあります。
クロス取引は禁止されていませんか
禁止されていません。現物の買いと信用の売りは、どちらも通常の取引です。ただし、優待の条件に継続保有がある場合は、クロス取引では受け取れないことがあります。
いくら必要ですか
現物の買いの代金に加えて、信用取引の委託保証金が必要です。委託保証金は売買代金の30%以上です。最低額などの条件は証券会社の案内で確かめてください。
損をすることはありますか
あります。手数料、貸株料、逆日歩の合計が優待の価値を上回ると損になります。片方だけ約定したまま値動きがあった場合も損益が出ます。
配当金はもらえますか
現物側では配当を受け取りますが、信用の売り側で配当に相当する額を払うため、ほぼ打ち消し合います。現物の配当からは税金が引かれるため、その分が費用になります。
権利付き最終日の当日にクロス取引をしてもよいですか
できますが、一般信用の売りの在庫がなくなっていることが多く、制度信用では逆日歩の心配があります。日程に余裕を持って準備すると、選べる方法が増えます。
まとめ
- クロス取引は、現物の買いと信用の売りを同時に出し、権利を取ったら現渡しで決済する
- 費用は手数料・貸株料・逆日歩。優待の価値と比べて決める
- 逆日歩は制度信用の売りで発生し、あとから決まる。はじめては一般信用の売りが見積もりやすい
- 2026年12月末の権利付き最終日は12月28日(月)
- 継続保有の条件がある優待は、クロス取引では受け取れないことがある
出典は日本取引所グループ 信用取引制度の概要、日本取引所グループ 信用取引の目的・仕組み、日本取引所グループ 信用取引の権利処理、日本証券金融 用語集、日本証券業協会 制度信用取引、国税庁 株主優待を受け取った場合、Funds 注意事項・リスクについてです。




