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個人向け国債と新窓販国債は、同じ日本国政府が発行する円建て国債ですが、金利の決まり方と途中換金の仕組みが違います。利率の高い方を選べばよい、という単純な比較はできません。
2026年9月募集分では、個人向け国債「変動10年」の初回適用利率は年1.95%です。一方、新窓販国債10年は表面利率が年2.7%、応募者利回りが年2.943%です。数字だけを見ると新窓販国債が有利に見えますが、新窓販国債は途中売却価格が変動します。個人向け国債には、原則として発行後1年を過ぎれば国が所定の式で買い取る中途換金制度があります。
さらに、新窓販国債10年の2026年9月債は額面100円を98円16銭で購入し、購入時には初回の利子の調整額も支払います。「年2.7%」は購入資金全体にそのまま掛かる預金金利ではありません。表面利率、応募者利回り、募集価格、経過利子を分けて読む必要があります。
先に結論
- 値動きを避け、1年以上使わない円資金を置くなら、個人向け国債は仕組みが比較的分かりやすい選択肢です
- 新窓販国債は、満期まで保有する前提と途中売却する可能性を分けて判断する必要があります
- 2026年9月の新窓販国債10年は、表面利率2.7%より応募者利回り2.943%を見る方が実態に近い比較になります
- 新窓販国債の途中売却では、金利上昇時に元本割れする可能性があります。ただし、満期には額面100円で償還されます
- 個人向け国債も、発行後1年間は原則換金できず、中途換金時には直前2回分の利子相当額が差し引かれます
- どちらもNISAでは直接購入できません。税引後と物価上昇後の実質価値まで確認が必要です
この記事は2026年9月5日時点で公表済みの一次情報を基にしています。2026年9月の新窓販国債5年は9月9日に条件発表予定で、基準日時点では未発表です。申込時には、財務省の現在募集中の個人向け国債・新窓販国債と取扱金融機関の最新条件を必ず確認してください。
個人向け国債と新窓販国債の違いを一覧比較

最初に、比較の中心となる個人向け国債「変動10年」と新窓販国債10年を並べます。どちらも日本国政府が元利金の支払いを行う国債ですが、個人向け国債は個人向けに中途換金制度を組み込んだ商品、新窓販国債は市場で取引される通常の固定利付国債を広い金融機関の窓口で購入しやすくした商品です。
| 比較項目 | 個人向け国債 変動10年 | 新窓販国債10年 |
|---|---|---|
| 2026年9月の金利 | 初回年1.95% | 表面利率2.7%、応募者利回り2.943% |
| 金利タイプ | 半年ごとに変わる変動金利 | 満期まで変わらない固定金利 |
| 販売価格 | 額面100円につき100円 | 2026年9月債は額面100円につき98円16銭 |
| 途中換金 | 原則1年後から国の買取制度 | 市場価格で売却 |
| 途中換金の主なコスト | 直前2回分の各利子相当額 | 価格変動、売買条件、手数料等 |
| 最低購入額 | 最低1万円から1万円単位 | 最低5万円から5万円単位 |
| 購入対象 | 2026年11月募集分までは個人 | 個人、法人等に制限なし |
| 満期償還 | 額面100円につき100円 | 額面100円につき100円 |
財務省の商品性の比較も、中途換金の方法と価格変動を大きな違いとして示しています。「個人向け国債は安全、新窓販国債は危険」と二分するより、いつ現金に戻すかを先に決める方が、商品の違いを正しく捉えられます。
2026年9月の最新金利と募集条件
2026年9月の個人向け国債は、変動10年、固定5年、固定3年の3商品が9月3日から30日まで募集されています。財務省の発行条件の報道発表では、変動10年の初回利率が1.95%、固定5年が2.24%、固定3年が1.96%です。
新窓販国債10年の9月債は9月4日から29日まで募集されます。2年債は9月2日から29日までです。5年債は9月9日に条件発表、9月11日に募集開始の予定であり、9月5日時点で利率と価格は確定していません。未発表の数値を予想値で埋めないことが重要です。
| 2026年9月募集 | 税引前年率 | 募集価格 | 募集期間 |
|---|---|---|---|
| 個人向け 変動10年 | 初回1.95% | 100円 | 9月3日から30日 |
| 個人向け 固定5年 | 2.24% | 100円 | 9月3日から30日 |
| 個人向け 固定3年 | 1.96% | 100円 | 9月3日から30日 |
| 新窓販 固定10年 | 表面2.7%、応募者2.943% | 98円16銭 | 9月4日から29日 |
| 新窓販 固定5年 | 9月9日発表予定 | 9月9日発表予定 | 9月11日から30日予定 |
| 新窓販 固定2年 | 表面1.7%、応募者1.672% | 100円05銭 | 9月2日から29日 |
同じ月でも、個人向け国債の固定5年2.24%は変動10年の初回1.95%を上回っています。年限が長いほど必ず利率が高いわけでも、変動金利が固定金利より必ず有利なわけでもありません。保有期間、将来の金利変化、中途換金の可能性を一緒に比較する必要があります。
3商品ずつあるが年限は一致しない
| 商品群 | 年限 | 金利 | 主な設計 |
|---|---|---|---|
| 個人向け国債 | 10年、5年、3年 | 10年は変動、5年と3年は固定 | 国の中途換金制度あり |
| 新窓販国債 | 10年、5年、2年 | すべて固定 | 通常の国債と同じく市場で売却 |
個人向け国債の商品設計は財務省の商品概要、新窓販国債の年限と購入条件は新窓販国債の商品概要で確認できます。商品名の「10年」だけを合わせて比較すると、変動と固定という大きな違いを見落とします。
違い1 元本割れは満期と途中売却で分ける
個人向け国債は、財務省が「元本割れのリスクなし」と説明している商品です。購入価格と満期償還額は額面100円につき100円で、原則1年経過後は国の買取制度を利用できます。ただし、中途換金時には所定の調整額が差し引かれます。普通預金のようにいつでも100万円をそのまま引き出せる意味ではありません。
新窓販国債は市場価格で売却するため、売却価格が購入価格を下回る可能性があります。金利が上がると、すでに発行された低いクーポンの債券は相対的な魅力が下がり、価格が下がるのが基本です。一方、満期まで持ち、日本国政府が予定通り支払えば、額面100円につき100円で償還されます。2026年9月債は98円16銭で買うため、満期償還だけを見れば額面差はプラスです。
| 場面 | 個人向け国債 | 新窓販国債 |
|---|---|---|
| 購入時 | 額面と購入額が同じ | 額面と募集価格が異なる場合 |
| 保有中 | 市場価格を見て売買する商品ではない | 市場金利に応じて時価が変動 |
| 途中換金 | 国の式で買取、利子相当額を調整 | 市場価格次第で売却益または売却損 |
| 満期 | 額面100円を償還 | 額面100円を償還 |
| 共通リスク | 日本国の信用、物価上昇、機会損失 | 日本国の信用、物価上昇、機会損失 |
「新窓販国債はリスク資産」と呼ぶだけでは説明が粗くなります。株式と同じ値動きや損失幅を持つという意味ではありません。両者の発行体は同じで、主な違いは信用リスクではなく、金利変動を誰がどの形で負担するかです。個人向け国債も、インフレで利子を上回って物価が上がれば、実質的な購買力が減る可能性があります。
違い2 中途換金の自由度と価格が違う
個人向け国債は、すべての商品で発行後1年を経過した第2期利子支払日以降、原則として一部または全部を中途換金できます。財務省の中途換金FAQによれば、基本の換金額は「額面金額+経過利子相当額-直前2回分の各利子の税引後相当額」です。税引後相当額を出す係数が0.79685です。
発行後1年間は原則として換金できません。ただし、口座名義人が亡くなった場合、または災害救助法が適用された大規模自然災害で被害を受けた場合には特例があります。生活防衛資金のすべてを入れると、通常時の急な支出に対応できない期間が生じます。
新窓販国債には1年間の売却禁止期間はありません。金融機関を通じて市場で売却できます。ただし、財務省の新窓販国債FAQは、国が買い取る制度ではなく、買い手がつかなければ売却できない場合があると説明しています。「いつでも売却を申し込める」と「希望価格で必ず換金できる」は別です。
| 換金条件 | 個人向け国債 | 新窓販国債 |
|---|---|---|
| 換金開始 | 原則として発行後1年 | 市場で売却できれば期間制限なし |
| 相手 | 国による買取 | 市場の買い手 |
| 価格の決まり方 | 財務省所定の計算式 | 売却時の市場価格 |
| 主な負担 | おおむね直前1年分の税引後利子 | 価格差、スプレッド、取扱条件等 |
| 一部換金 | 1万円単位 | 金融機関の売却単位を確認 |
個人向け国債の調整額は「解約手数料で元本が永久に失われる」と捉えるより、直前に受け取った利子を返す仕組みと考えると分かりやすくなります。ただし、保有中の資金拘束と利息を得られない期間は実質的なコストです。
違い3 変動金利と固定金利では有利な局面が違う
個人向け国債「変動10年」は半年ごとに適用利率を見直します。基準金利は直近の10年固定利付国債入札の平均落札価格を基に計算する複利利回りで、適用利率は原則として基準金利×0.66です。年0.05%の下限があり、上限はありません。財務省の変動10年の商品概要と金利FAQに計算方法が示されています。
新窓販国債は10年、5年、2年のすべてが固定金利です。購入後に市場金利が上がっても受取クーポンは増えません。反対に市場金利が下がってもクーポンは減りません。将来の金利上昇を自動的に反映したいなら変動10年、現在の条件を固定したいなら固定利付債という違いがあります。
| 金利の動き | 個人向け 変動10年 | 新窓販10年 |
|---|---|---|
| 市場金利が上昇 | 次回以降の適用利率が上がる可能性 | クーポンは固定、途中売却価格は下がりやすい |
| 市場金利が横ばい | 大きく変わらない可能性 | 固定クーポンを受け取る |
| 市場金利が低下 | 次回以降の適用利率が下がる可能性 | クーポンは固定、途中売却価格は上がりやすい |
| 最低金利 | 年0.05% | 制度上の下限なし |
0.66は保険料として別に徴収される費用ではありません。財務省は、10年固定利付国債の金利収入とのバランスや中途換金などの商品性を総合的に勘案した結果と説明しています。「元本確保機能の保険料」という表現はイメージとしては理解しやすくても、公式な費用項目ではない点に注意してください。
違い4 表面利率と応募者利回りは同じではない
新窓販国債10年の表面利率2.7%は、額面に対して毎年受け取るクーポンの割合です。額面100万円なら、通常の年間利子は税引前2万7,000円です。一方、応募者利回り2.943%は、98円16銭で買い、償還時に100円を受け取る価格差と残存期間を含めて年率化した指標です。
財務省の表面利率と利回りの違いは、表面利率が額面に対する利子を決める率、利回りが購入価格に対する収益を年率で示すものだと説明しています。国債利回りの計算では、購入価格、表面利率、償還までの期間を用いる単利の最終利回りの式が示されています。
| 用語 | 2026年9月の新窓販10年 | 意味 |
|---|---|---|
| 額面 | 100円 | 利子計算と満期償還の基準 |
| 表面利率 | 年2.7% | 額面に掛ける固定クーポン |
| 募集価格 | 98円16銭 | 額面100円を取得する本体価格 |
| 応募者利回り | 年2.943% | クーポンと償還差を含む単利指標 |
| 償還金額 | 100円 | 2036年6月20日の額面償還額 |
募集価格が100円より低いディスカウント発行では、表面利率より応募者利回りが高くなりやすくなります。反対に、新窓販国債2年の9月債は表面利率1.7%に対し、価格が100円05銭なので応募者利回りは1.672%です。額面より高く買うと、満期の100円との差が利回りを押し下げます。
違い5 購入単位、対象者、上限が違う
個人向け国債は額面1万円から1万円単位で、購入上限はありません。新窓販国債は額面5万円から5万円単位で、1回の申込み当たり額面3億円が上限です。2026年9月時点の個人向け国債は購入者が個人に限られ、新窓販国債は法人やマンション管理組合なども購入できます。
| 購入条件 | 個人向け国債 | 新窓販国債 |
|---|---|---|
| 最低額 | 1万円 | 5万円 |
| 増額単位 | 1万円 | 5万円 |
| 上限 | 制度上なし | 1申込み当たり額面3億円 |
| 購入者 | 個人 | 制限なし |
| 発行頻度 | 原則毎月 | 原則毎月 |
どちらも証券会社、銀行などに振替国債の口座を用意して購入します。財務省の国債の購入金額に関するFAQでは購入手数料は不要とされていますが、口座開設や維持に手数料がかかる金融機関があること、経過利子が必要な場合があることも説明されています。キャンペーンの有無だけでなく、口座管理費、売却条件、取扱年限を確認してください。
見落としやすい違い 新窓販国債は初回の利子を調整する

新窓販国債は、直近の入札で発行された通常の国債と同じ銘柄として追加発行されます。発行日から最初の利払日までがちょうど半年ではないため、購入者は保有していなかった期間に相当する利子を購入時に先払いします。これが初回の利子の調整額、一般に経過利子と呼ばれるものです。
2026年9月の新窓販国債10年は、発行日が10月9日、利払日が毎年6月20日と12月20日です。財務省の9月債の発行条件では、初回の利子の調整額は額面100円につき0.8210958円、111日分とされています。購入時には募集価格とは別にこの金額を支払います。
| 額面100万円の購入時 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 国債本体の募集価格 | 100万円×98.16% | 98万1,600円 |
| 初回利子調整額 | 0.8210958円×1万 | 8,210.958円 |
| 購入時の合計 | 本体+調整額 | 約98万9,811円 |
| 通常の半年クーポン | 100万円×2.7%÷2 | 税引前1万3,500円 |
初回利払日には半年分の利子が支払われるため、調整額は単純な購入手数料ではありません。また、財務省はこの調整額を売却または償還時の所得税計算上、取得費に加算できると説明しています。実際の受渡金額と税務処理は口座区分や金融機関の明細で確認してください。
100万円を買った場合の利子と資金の違い
額面100万円で比較します。個人向け国債「変動10年」は100万円を支払い、最初の半年は年1.95%です。半年分の税引前利子は9,750円、20.315%源泉徴収後の概算は7,769円です。次の半年は利率が見直されるため、1年間ずっと1.95%とは限りません。
新窓販国債10年は、前節の通り本体価格と初回利子調整額で約98万9,811円を支払います。固定クーポンは年間2万7,000円、20.315%源泉徴収後の概算は2万1,515円です。公式の税引後応募者利回りは年2.385%と表示されています。利子、償還差益、売却損益の税務は同じ計算にならない場合があるため、単純にすべての収益へ0.79685を掛けた数値を確定手取りとしないでください。
| 額面100万円 | 個人向け 変動10年 | 新窓販10年 |
|---|---|---|
| 購入時本体 | 100万円 | 98万1,600円 |
| 初回利子調整額 | なし | 税引前表示で約8,211円 |
| 既知の半年利子 | 税引前9,750円 | 税引前1万3,500円 |
| 半年利子の税引後概算 | 約7,769円 | 約1万757円 |
| 年間クーポン | 利率が同じなら税引前1万9,500円 | 固定で税引前2万7,000円 |
| 満期額面 | 100万円 | 100万円 |
税引後概算は20.315%の源泉徴収を前提に1円未満を四捨五入しています。新窓販国債の購入時合計には口座関連費用等を含みません。個人向け変動10年の将来利率、新窓販国債の途中売却価格、再投資利回りは保証されません。
国税庁の株式・配当・利子と税によれば、国債は特定公社債に含まれ、利子には所得税等15.315%と住民税5%、合計20.315%が源泉徴収されます。申告不要を選べる一方、一定の口座や申告では上場株式等の譲渡損失との損益通算が関係します。個別の税務判断は税務署や税理士へ確認してください。
金利が1ポイント上がると新窓販国債はいくら下がるか
債券価格は、将来受け取るクーポンと元本を市場利回りで割り引いた現在価値です。金利が上がると価格は下がり、金利が下がると価格は上がります。しかし「金利上昇幅×残存年数」をそのまま下落率にする方法は、ごく粗い目安です。クーポン、現在の利回り、利払い頻度、残存期間、利回り曲線、経過利子、凸性を反映していません。
表面利率2.7%、額面100円、半年払い、残存10年と仮定し、すべてのキャッシュフローを同じ利回りで割り引く簡易試算を行いました。実際の2026年9月債は発行から償還まで10年より短く、実際の売値には市場慣行や金融機関の提示条件が加わるため、以下は価格保証ではありません。
| 市場利回りの仮定 | 理論価格 | 2.943%時からの変化 |
|---|---|---|
| 1.943% | 約106.85円 | 約9.1%上昇 |
| 2.443% | 約102.27円 | 約4.5%上昇 |
| 2.943% | 約97.91円 | 基準 |
| 3.443% | 約93.76円 | 約4.2%下落 |
| 3.943% | 約89.81円 | 約8.3%下落 |
この簡易試算では、利回りが1ポイント上がったときの下落は約8.3%で、単純な「1%×10年=10%」とは一致しません。逆に1ポイント下がったときの上昇は約9.1%で、上下も対称ではありません。これが債券価格の凸性です。残存期間が短くなるほど、一般に同じ金利変化に対する価格変動は小さくなります。
| 簡易式で分かること | 簡易式では分からないこと |
|---|---|
| 長期債ほど金利感応度が大きい傾向 | 実際の売却価格 |
| 金利上昇で固定利付債が下がる方向 | クーポンを含む正確なデュレーション |
| おおまかなストレスの大きさ | 売買スプレッド、経過利子、税金 |
| 満期が近づくと影響が縮む傾向 | 利回り曲線の年限別変化 |
途中売却の可能性がある人は、期待する金利方向を当てに行くより、「売却時に8%から10%程度下がっても使途に支障がないか」というストレステストの方が実用的です。額面100万円なら、一時的に10万円前後の評価差が出る想定です。満期保有できる資金なら、日々の価格変動を実現損にせず額面償還を待てます。
新窓販国債の高い利回りをどう評価するか
年2.943%は、同じ時点の個人向け変動10年の初回1.95%より約0.993ポイント高い水準です。ただし、比較する収益の性質が違います。個人向け変動10年は半年後に利率が変わる一方、新窓販10年は固定されます。現在の差が10年間続くとは限りません。
将来の市場金利が上がれば、個人向け変動10年の利率は上がる可能性があり、新窓販10年は相対的に低い固定利率を抱えます。市場金利が下がれば、個人向け変動10年の利率は下がる可能性がある一方、新窓販10年の固定クーポンと市場価格には追い風です。
| 判断軸 | 個人向け変動10年が合いやすい条件 | 新窓販10年が合いやすい条件 |
|---|---|---|
| 保有期間 | 1年以上だが10年未満の換金も想定 | 2036年まで満期保有できる |
| 金利観 | 今後の上昇も自動反映したい | 現在の固定条件を確保したい |
| 価格変動 | 途中の額面割れを避けたい | 途中時価を受け入れられる |
| 仕組み | 単純な購入価格と換金式を重視 | 利回り、価格、経過利子を理解できる |
| 資金単位 | 1万円単位で細かく分けたい | 5万円単位で問題ない |
これは適合しやすい条件の整理であり、購入推奨ではありません。固定5年や固定3年、2年債、定期預金、普通預金も候補です。特に2026年9月の個人向け固定5年は年2.24%で、中途換金制度を持ちながら5年間の利率を固定します。変動10年と新窓販10年の二択に狭めない方が合理的です。
預金、個人向け国債、新窓販国債を用途で比べる
安全資金は一つの商品へまとめる必要はありません。日常支出、1年以内の予定支出、数年後の支出、10年以上使わない資金に分けると、換金制限と価格変動を管理しやすくなります。
| 資金の用途 | 候補 | 理由 | 注意 |
|---|---|---|---|
| いつでも必要 | 普通預金等 | 即時性を優先 | 金利と預金保護範囲を確認 |
| 1年以内に使う | 預金、短期商品 | 換金制限や価格変動を避ける | 満期前解約条件を確認 |
| 1年以上、時期未定 | 個人向け国債 | 1年後から国の中途換金制度 | 直前2回分の利子調整 |
| 2年、3年、5年後 | 満期が合う国債や定期預金 | 資金時期と年限を一致 | 税引後と途中換金を比較 |
| 約10年使わない | 新窓販10年も候補 | 満期保有で途中価格を回避 | 固定金利とインフレリスク |
日本の長期金利が家計や債券へどう伝わるかは、長期金利3%の影響を整理した記事でも詳しく解説しています。10年国債の市場利回り、個人向け国債の適用利率、銀行預金金利は同じ幅で動くわけではありません。
NISAではどちらも直接買えない
個人向け国債も新窓販国債も、NISAのつみたて投資枠と成長投資枠では直接購入できません。日本証券業協会のNISAのよくある質問は、預金、国債、社債はいずれも両投資枠の対象外と明記しています。
NISAで債券を含む資産へ投資したい場合、対象となる株式投資信託やETFの中に債券を組み入れた商品を選ぶ方法はあります。ただし、債券ファンドには基準価額の変動、信託報酬、為替、信用リスクがあり、個人向け国債の中途換金制度は付きません。名前に「債券」が入っていても別の商品です。
| 商品 | NISA直接購入 | 価格変動 | 主な費用 |
|---|---|---|---|
| 個人向け国債 | 対象外 | 市場売買による時価変動なし | 中途換金調整額、口座関連費用等 |
| 新窓販国債 | 対象外 | 途中売却価格が変動 | 売却条件、口座関連費用等 |
| NISA対象の債券組入投信 | 商品により可能 | 基準価額が変動 | 信託報酬等 |
両方に共通するリスクも確認する
個人向け国債は名目元本を守る設計ですが、すべての意味で無リスクではありません。新窓販国債も、途中価格が動く一方で株式と同じ事業リスクを負う商品ではありません。ラベルではなく、リスクの種類を分けてください。
| リスク | 個人向け国債 | 新窓販国債 | 確認方法 |
|---|---|---|---|
| 金利変動 | 受取利率が変わる | 途中時価が変わる | 金利上昇時の影響を試算 |
| 流動性 | 最初の1年は原則換金不可 | 買い手や提示価格次第 | 必要時期と売却条件を照合 |
| 信用 | 日本国政府の支払能力 | 日本国政府の支払能力 | 発行体と通貨を確認 |
| インフレ | 実質購買力が減る可能性 | 固定利率の実質価値が低下 | 税引後利回りと物価を比較 |
| 再投資 | 受取利子の再投資条件 | クーポンの再投資条件 | 利回り表示の前提を確認 |
| 機会損失 | より高い新発金利を逃す場合 | 固定後の金利上昇に追随しない | 一括購入を避け分散も検討 |
金融機関が破綻した場合については、預金保険と国債の保護方法は異なります。振替国債の権利は口座簿の記録で定まり、財務省は新窓販国債の口座を持つ金融機関が破綻しても、その権利は保護されると説明しています。ただし、口座移管や手続きに時間がかかる可能性までゼロになるわけではありません。
購入前に確認したい手順
商品名から選ぶのではなく、使う時期から逆算します。次の順番で確認すると、利率だけに判断を引っ張られにくくなります。
- 生活費と緊急予備資金を預金等で確保する
- 国債へ回すお金をいつ使うか決める
- 満期まで持てる金額と途中換金する可能性がある金額を分ける
- 表面利率ではなく税引後利回りと購入価格を確認する
- 経過利子、口座費用、売却価格の提示方法を金融機関へ確認する
- 同じ年限の預金や個人向け固定国債も比較する
- 一度に全額を固定せず、購入時期や満期を分ける必要があるか検討する
| 購入前チェック | 確認する内容 | 確認先 |
|---|---|---|
| 最新条件 | 利率、利回り、価格、募集期間 | 財務省、金融機関 |
| 受渡金額 | 額面、購入価格、経過利子 | 取引画面、交付書面 |
| 中途換金 | 開始時期、単位、価格、日数 | 商品説明書、金融機関 |
| 税金 | 源泉徴収、損益通算、口座区分 | 国税庁、金融機関、税理士 |
| 費用 | 口座管理、移管、売却関連 | 各金融機関の手数料表 |
| 資金用途 | 1年以内か、満期まで使わないか | 家計表、資金計画 |
財務省の購入方法と取扱金融機関一覧では、窓口購入だけでなく、インターネットで個人向け国債を購入できる金融機関も確認できます。新窓販国債は金融機関によって取扱年限や期間が異なる場合があるため、同じ口座で両方買えるとは限りません。
2026年12月から個人向け国債プラスへ名称変更予定
最新の制度情報として、財務省は2026年12月募集分、2027年1月発行分から、個人向け国債の販売対象を一部の法人等へ広げ、名称を「個人向け国債プラス」に変える予定です。対象拡大は国債の安定保有層を増やす目的で、個人は引き続き購入できます。
財務省の個人向け国債プラスの案内は、変動10年、固定5年、固定3年というラインナップ、最低1万円、金利設定、中途換金制度など、基本的な商品性に変更はないとしています。名称変更を新しい高利回り商品や解約自由化と誤解しないことが大切です。
| 項目 | 2026年11月募集分まで | 2026年12月募集分からの予定 |
|---|---|---|
| 名称 | 個人向け国債 | 個人向け国債プラス |
| 対象 | 個人 | 個人と一部の法人等 |
| 商品 | 変動10年、固定5年、固定3年 | 同じ3商品 |
| 最低額 | 1万円 | 1万円の予定 |
| 中途換金 | 原則1年後、利子調整あり | 基本設計は変更なし |
よくある質問

個人向け国債と新窓販国債は同じ日本国債ですか
どちらも日本国政府が発行し、円建てで元利金を支払う国債です。ただし、個人向け国債は個人投資家向けの中途換金制度を備えた専用商品です。新窓販国債は市場で取引される通常の固定利付国債と同じ銘柄を、金融機関の窓口で購入しやすくしたものです。
2026年9月はどちらの金利が高いですか
個人向け変動10年の初回利率は1.95%、新窓販10年の表面利率は2.7%、応募者利回りは2.943%です。現在の表示利回りは新窓販10年が高い一方、固定金利、途中価格変動、購入価格を伴います。個人向け変動10年の利率は半年ごとに変わります。
新窓販国債は満期まで持っても元本割れしますか
日本国政府が予定通り支払う前提では、満期に額面100円につき100円が償還されます。2026年9月債の本体価格は98円16銭です。元本割れが問題になる主な場面は、満期前に市場価格で売却するときです。税金、経過利子、口座費用、インフレによる実質価値は別に考えます。
個人向け国債は本当に元本割れしませんか
財務省は、額面100円で購入し満期も100円、中途換金も所定の国の買取制度により「元本割れのリスクなし」と説明しています。ただし、中途換金時には直前2回分の利子相当額が差し引かれ、発行後1年は原則換金できません。物価上昇で購買力が下がる可能性もあります。
新窓販国債はいつでも売れますか
期間制限なく市場で売却を申し込めますが、国が一定価格で買い取る制度ではありません。売却価格は市場次第で、買い手がつかなければ売却できない場合もあると財務省は説明しています。金融機関の受付時間、売却単位、受渡日も確認してください。
個人向け国債は1年以内に解約できますか
原則としてできません。例外は、口座名義人が亡くなった場合や、災害救助法の適用対象となった大規模自然災害で被害を受けた場合などです。通常の医療費、失業、住宅購入といった事情だけで特例になるとは限らないため、1年以内に必要な資金は分けてください。
表面利率2.7%と応募者利回り2.943%のどちらを見ますか
年間のクーポン額を知るには表面利率、購入価格と償還差を含めた満期保有の収益性を比べるには応募者利回りを見ます。どちらか一方だけでは不十分です。途中売却する場合は応募者利回りも実現しません。
額面100万円なら新窓販国債を100万円で買いますか
2026年9月の10年債は本体価格が98万1,600円で、別に初回の利子の調整額約8,211円が必要です。税引前表示に基づく合計は約98万9,811円です。口座関連費用や実際の精算方法は金融機関で確認してください。
金利が1%上がると価格は10%下がりますか
必ず10%下がるわけではありません。「金利変化×残存年数」は粗い目安です。表面利率2.7%、残存10年、半年払いの簡易試算では、利回り2.943%から3.943%への上昇で理論価格は約8.3%下落しました。実際の価格は残存期間や市場条件で変わります。
どちらもNISAで買えますか
個人向け国債と新窓販国債は、つみたて投資枠、成長投資枠のどちらでも直接購入できません。NISA対象の投資信託やETFが債券を組み入れている場合はありますが、国の中途換金制度を持つ個人向け国債とは異なります。
税金はどちらが有利ですか
個人が受け取る国債利子には原則20.315%が源泉徴収されます。新窓販国債は売却損益や償還差益も関係し、口座区分や確定申告によって損益通算の扱いが変わる場合があります。公式の税引後利回りと、自分の実際の手取りは分けて確認してください。
新窓販国債10年は今すぐ買うべきですか
利回りだけで一律に決めることはできません。2036年まで使わない資金か、途中で8%から10%程度の価格下落が生じても売らずに保有できるか、固定金利を選ぶ目的があるかを確認してください。1年以内に必要な資金には適しにくく、より短い国債や預金も比較対象です。
個人向け国債プラスになると金利は上がりますか
名称変更だけで金利が上がるとは公表されていません。2026年12月募集分から販売対象を一部法人等へ広げる予定ですが、財務省はラインナップや基本的な商品性に変更はないとしています。各月の利率は従来通り、その時点の基準金利から決まります。
まとめ

個人向け国債と新窓販国債の最大の違いは、単なる利率差ではありません。個人向け国債は、変動または固定の利率と国の中途換金制度を組み合わせた商品です。新窓販国債は通常の固定利付国債で、購入価格が額面と異なり、途中売却価格が市場金利で動きます。
2026年9月時点では、個人向け変動10年の初回利率1.95%に対し、新窓販10年は表面利率2.7%、応募者利回り2.943%です。ただし、その差は途中売却リスク、固定金利、募集価格98円16銭、初回利子調整額と一体です。高い数字だけを切り取らないでください。
選ぶ前に、1年以内に使う資金を除き、満期まで持てる金額を決め、税引後とインフレ後の価値を比較します。購入時期と満期を分ける方法もあります。この記事の計算は条件を単純化した簡易試算であり、将来の利率や売却価格を保証するものではありません。最終的な投資判断は自己責任で行い、最新の交付書面と金融機関の条件を確認してください。
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