
純金融資産1億円以上の世帯数は、野村総合研究所の2023年推計で165万3,000世帯です。内訳は1億円以上5億円未満の富裕層が153万5,000世帯、5億円以上の超富裕層が11万8,000世帯でした。両者が保有する純金融資産は合計469兆円です。
ただし、これは2026年の実測値ではありません。野村総合研究所が2025年2月13日に公表した2023年時点の民間推計です。また、約3%という数字は人口に占める割合ではなく、同じNRI推計に含まれる全世帯に対する割合です。2026年8月28日時点で後継となる階層別推計を確認できなかったため、本記事ではこれを最新のNRI公表推計として扱います。
結論を先に整理すると、ニュースの主要数値は一次資料と一致します。一方で「自宅を含む資産が1億円なら富裕層」「日本人の約3%が富裕層」「年収1,200万円以上なら半数が富裕層」と読み替えるのは誤りです。本記事では、純金融資産の定義、2.97%と26.1%の計算、年収別金融資産データとの違いまで事実ベースで検証します。
| 確認項目 | 結論 | 注意点 |
|---|---|---|
| 純金融資産1億円以上の世帯数 | 165万3,000世帯 | 2023年時点のNRI推計 |
| 全階層に占める割合 | 2.97%、四捨五入で約3% | 人口割合ではなく世帯割合 |
| 保有する純金融資産 | 469兆円 | 富裕層334兆円と超富裕層135兆円の合計 |
| 全階層の純金融資産に占める割合 | 26.1% | 不動産を含む国全体の総資産シェアではない |
| 自宅が1億円なら該当するか | それだけでは該当しない | NRIの純金融資産に自宅の時価は加えない |
純金融資産1億円以上165万3,000世帯の内訳

NRIは世帯が保有する純金融資産額を5階層に分けています。ここでいう富裕層は法律上の資格でも、税法上の区分でもありません。金融市場を分析するためのNRI独自の分類です。
| NRIの階層 | 世帯の純金融資産 | 2023年の世帯数 | 純金融資産総額 |
|---|---|---|---|
| 超富裕層 | 5億円以上 | 11万8,000世帯 | 135兆円 |
| 富裕層 | 1億円以上5億円未満 | 153万5,000世帯 | 334兆円 |
| 準富裕層 | 5,000万円以上1億円未満 | 403万9,000世帯 | 333兆円 |
| アッパーマス層 | 3,000万円以上5,000万円未満 | 576万5,000世帯 | 282兆円 |
| マス層 | 3,000万円未満 | 4,424万7,000世帯 | 711兆円 |
| 合計 | 全階層 | 5,570万4,000世帯 | 1,795兆円 |
富裕層と超富裕層を足すと165万3,000世帯、469兆円になります。準富裕層の403万9,000世帯は1億円未満なので、この合計には入りません。資産5,000万円を超えた後の運用や税・相続は別記事で詳しく整理しています。
純金融資産とは何か
NRIが使う純金融資産は、預貯金、株式、債券、投資信託、一時払い生命保険、年金保険などの金融資産から、住宅購入などに伴う借入を含む負債を差し引いた金額です。総資産、自宅込みの純資産、証券口座残高のいずれとも同じではありません。
| 項目 | NRIの純金融資産での扱い | 読み間違えやすい点 |
|---|---|---|
| 預貯金 | 金融資産に加える | 生活口座の現金も金融資産 |
| 株式・債券・投資信託 | 金融資産に加える | 価格変動で階層をまたぐことがある |
| 一時払い生命保険・年金保険 | 金融資産に加える | 毎月払い保険の累計保険料とは別 |
| 住宅ローンなどの負債 | 金融資産から差し引く | 金融資産が多くても負債が大きければ純額は下がる |
| 自宅の時価 | 金融資産には加えない | 不動産込みの総資産とは違う |
| 将来受け取る公的年金 | 現在の金融資産残高には加えない | 将来の収入見込みとして別に考える |
例えば、預金2,000万円、株式と投資信託9,000万円、住宅ローン残高1,500万円なら、NRI型の単純な純金融資産は9,500万円です。自宅の時価が8,000万円でも加算しないため、1億円の富裕層基準には届きません。
反対に、賃貸住宅で預金2,000万円、株式と投資信託8,500万円、負債200万円なら純金融資産は1億300万円です。この例では1億円を超えます。家の大きさや年収の高さではなく、世帯の金融資産と負債の差額で判定するのがポイントです。
約3%はどう計算した数字か
NRIの図にある全5階層を合計すると5,570万4,000世帯です。富裕層と超富裕層の165万3,000世帯をこの合計で割ると2.967%になります。四捨五入すると約3.0%で、逆数にすると約33.7です。言い換えれば約34世帯に1世帯という計算です。
| 計算 | 式 | 結果 |
|---|---|---|
| 富裕層以上の世帯数 | 153.5万世帯+11.8万世帯 | 165.3万世帯 |
| 全階層の世帯数 | 11.8+153.5+403.9+576.5+4,424.7 | 5,570.4万世帯 |
| 世帯割合 | 165.3÷5,570.4×100 | 2.967% |
| 何世帯に1世帯か | 5,570.4÷165.3 | 約33.7世帯に1世帯 |
ここでの分母はNRI推計内の世帯数です。「約3%」を人の数へそのまま当てはめてはいけません。一つの富裕層世帯に複数人が暮らす場合もあれば、単身世帯の場合もあります。したがって、正確な表現は「NRI推計の全世帯のうち、純金融資産1億円以上が約3%」です。
469兆円は全体の26.1%
全5階層が保有する純金融資産の合計は1,795兆円です。富裕層334兆円と超富裕層135兆円の合計469兆円を分母1,795兆円で割ると26.128%になります。世帯数では2.97%の層が、NRI推計内の純金融資産では26.1%を保有している計算です。
| 階層 | 世帯割合 | 純金融資産割合 | 1世帯当たり単純平均 |
|---|---|---|---|
| 超富裕層 | 0.21% | 7.52% | 約11億4,407万円 |
| 富裕層 | 2.76% | 18.61% | 約2億1,759万円 |
| 準富裕層 | 7.25% | 18.55% | 約8,245万円 |
| アッパーマス層 | 10.35% | 15.71% | 約4,892万円 |
| マス層 | 79.43% | 39.61% | 約1,607万円 |
| 富裕層と超富裕層の合計 | 2.97% | 26.13% | 約2億8,373万円 |
1世帯当たりの金額は、階層ごとの資産総額を世帯数で割った独自計算です。個別世帯の平均を直接調査した値ではありません。特に超富裕層は5億円以上に上限がないため、ごく大きな資産を持つ世帯の影響を受けます。富裕層以上の単純平均が約2億8,373万円だからといって、典型的な世帯がその金額を持つとは限りません。
また、26.1%は日本の不動産、未上場事業、耐久消費財、公的年金受給権まで含めた国富の割合ではありません。あくまでNRIが推計した世帯の純金融資産1,795兆円に対する比率です。数字が大きいからこそ、分子と分母を同じ定義にそろえる必要があります。
富裕層の世帯数は2021年から11.3%増えた

NRIの推計では、富裕層と超富裕層の合計は2021年の148万5,000世帯から2023年の165万3,000世帯へ16万8,000世帯増えました。増加率は11.3%です。純金融資産は364兆円から469兆円へ105兆円増え、増加率は28.8%でした。
| 指標 | 2021年 | 2023年 | 増加分 | 増加率 |
|---|---|---|---|---|
| 富裕層以上の世帯数 | 148万5,000世帯 | 165万3,000世帯 | 16万8,000世帯 | 11.3% |
| 富裕層の純金融資産 | 259兆円 | 334兆円 | 75兆円 | 29.0% |
| 超富裕層の純金融資産 | 105兆円 | 135兆円 | 30兆円 | 28.6% |
| 富裕層以上の純金融資産 | 364兆円 | 469兆円 | 105兆円 | 28.8% |
資産総額の増加率が世帯数の増加率を上回ったことから、1億円の線を新しく越えた世帯が増えただけでなく、すでに富裕層だった世帯の時価資産も膨らんだと考えられます。ただし、この説明は集計値からの解釈です。各世帯の増減を追跡したパネル調査ではありません。
2005年以降の推移
| 推計年 | 富裕層以上の世帯数 | 純金融資産総額 |
|---|---|---|
| 2005年 | 86万5,000世帯 | 213兆円 |
| 2007年 | 90万3,000世帯 | 254兆円 |
| 2009年 | 84万5,000世帯 | 195兆円 |
| 2011年 | 81万世帯 | 188兆円 |
| 2013年 | 100万7,000世帯 | 241兆円 |
| 2015年 | 121万7,000世帯 | 272兆円 |
| 2017年 | 126万7,000世帯 | 299兆円 |
| 2019年 | 132万7,000世帯 | 333兆円 |
| 2021年 | 148万5,000世帯 | 364兆円 |
| 2023年 | 165万3,000世帯 | 469兆円 |
2005年から2023年では、世帯数が約91.1%、純金融資産総額が約120.2%増えました。一方、2007年から2011年にかけては世帯数も資産総額も減少しています。上昇だけが続いたわけではなく、市場環境によって富裕層の境界を下回る世帯が出ることも分かります。
なぜ富裕層が増えたのか
NRIは主な要因として、株式や投資信託の価格上昇、円安による外貨建て資産の円換算額上昇、相続を挙げています。2023年は市場性資産の価値が増え、準富裕層の一部が富裕層へ、富裕層の一部が超富裕層へ移ったと説明しています。
| 増加要因 | 純金融資産への作用 | 読む際の注意 |
|---|---|---|
| 国内外の株価上昇 | 株式と投資信託の時価が上がる | 売却していない含み益も時価残高を押し上げる |
| 円安 | 外貨建て資産の円換算額が増える | 円高へ戻れば反対方向に動く |
| 相続 | 受け取った金融資産が世帯残高へ加わる | 相続税や分割後の手取りとは同一でない |
| 継続投資 | 積立元本と運用成果が積み上がる | リターンは将来も同じとは限らない |
| 名目基準の固定 | 物価上昇下では1億円の実質価値が下がる | これは固定閾値から導く解釈で、NRIの要因分解ではない |
最後の名目基準については本記事の補足的な解釈です。NRIの階層境界は1億円という名目額で示されています。物価が上がっても基準が同じなら、同じ1億円の購買力は過去より小さくなります。したがって世帯数の増加を、そのまま生活上の余裕が同率で増えた証拠とはみなせません。
いつの間にか富裕層とは
NRIは、持株会、確定拠出年金、NISAなどで長く運用し、相場上昇によって資産が1億円を超えた主に40代後半から50代の会社員を「いつの間にか富裕層」と呼んでいます。NRIの金融ITフォーカスでも富裕層市場の変化として紹介されています。
NRIは2022年の生活者アンケートと近年のTOPIX騰落などから、準富裕層から移行した「いつの間にか富裕層」が富裕層以上の1割から2割程度を占めると推察しています。これは165万3,000世帯のうち何世帯かを直接数えた調査ではありません。「約16万から33万世帯いる」と断定せず、モデル上の推察として扱うのが適切です。
含み益で境界を越えた世帯は、相場下落で再び1億円を割る可能性もあります。富裕層というラベルが付いても、家計の支出、住宅ローン、退職時期、資産の集中度が自動的に安全になるわけではありません。資産が増えても生活水準を急に上げない考え方も合わせて確認してください。
年収別の金融資産はJ-FLEC公式表で確認できる
参照ニュースには年収別の金融商品保有額も掲載されています。これはNRI推計ではなく、金融経済教育推進機構の家計の金融行動に関する世論調査2025年を基にした数値です。二人以上世帯の調査は2025年6月20日から7月2日に実施され、世帯主が20歳以上80歳未満の全国5,000世帯を対象とするインターネットモニター調査でした。
本記事ではJ-FLECが公開する二人以上世帯の各種分類別データの表6を確認しました。公式ページには2026年1月21日付の修正告知があるため、2026年8月28日に配布されている現行ファイルを使用しています。次の金額は金融資産を保有していない世帯を含む平均額で、収入区分は年間手取り収入を基にしています。単位は万円です。
| 年間手取り収入区分 | 金融資産計 | 預貯金 | 債券 | 株式 | 投資信託 | 債券・株式・投信計 | 金融資産計に対する比率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 全体 | 1,940 | 745 | 78 | 433 | 216 | 727 | 37.5% |
| 収入なし | 634 | 385 | 7 | 33 | 153 | 193 | 30.4% |
| 300万円未満 | 858 | 368 | 36 | 191 | 79 | 306 | 35.7% |
| 300万円以上500万円未満 | 1,431 | 631 | 54 | 235 | 167 | 456 | 31.9% |
| 500万円以上750万円未満 | 1,755 | 693 | 58 | 365 | 189 | 612 | 34.9% |
| 750万円以上1,000万円未満 | 2,222 | 908 | 67 | 434 | 238 | 739 | 33.3% |
| 1,000万円以上1,200万円未満 | 2,725 | 1,028 | 91 | 572 | 292 | 955 | 35.0% |
| 1,200万円以上 | 5,635 | 1,649 | 343 | 1,792 | 682 | 2,817 | 50.0% |
年収1,200万円以上の区分では金融資産平均が5,635万円で、債券、株式、投資信託の合計が2,817万円、金融資産計の50.0%です。全体平均1,940万円より高い一方、平均額でも1億円には届きません。ただし、平均値だけから区分内で1億円を超える世帯の割合は分かりません。少数の高額保有世帯が平均を押し上げる場合があるためです。
「収入なし」の区分でも平均634万円あります。退職後に給与収入がなく、過去に形成した金融資産を保有する世帯が含まれ得るため、現在の収入と蓄積済み資産は一致しません。年収はフロー、金融資産は過去の貯蓄、運用、相続などが積み上がったストックです。
NRIとJ-FLECの数字は直接比較できない
NRIの165万3,000世帯とJ-FLECの年収別平均は、どちらも家計の資産に関するデータですが、指標と調査方法が異なります。年収1,200万円以上の平均5,635万円をNRIの1億円基準と単純比較して、富裕層になる確率を推定することはできません。
| 比較項目 | NRIの富裕層推計 | J-FLECの年収別表 |
|---|---|---|
| 対象時点 | 2023年 | 2025年6月から7月の調査 |
| 主な目的 | 純金融資産階層別の世帯数と規模を推計 | 家計の金融行動と保有状況を把握 |
| 対象 | NRIが推計する全世帯 | 二人以上世帯5,000世帯 |
| 方法 | 公的統計、相場データ、NRI調査などを組み合わせた民間推計 | インターネットモニター調査 |
| 資産指標 | 金融資産から負債を差し引く純金融資産 | 金融資産保有額の平均 |
| 不動産 | 金融資産に含めない | この金融商品保有額表には含めない |
| 負債 | 差し引く | 表6の金融資産額からは差し引かない |
| 非保有世帯 | 5階層推計に含まれる | 表6は金融資産非保有世帯を含む |
| 代表値 | 階層別の推計総額と世帯数 | 収入区分別の平均額 |
J-FLECの平均5,635万円に住宅ローンなどの負債を反映すると、NRI型の純金融資産はさらに小さくなる世帯があります。反対に、収入区分内には1億円を大きく超える世帯もあり得ます。分布や中央値が示されていない表から、富裕層比率は計算できません。
単身世帯の平均と中央値を確認したい場合は、同じJ-FLEC 2025年調査を使ったおひとりさまの年代別貯蓄データを参照してください。二人以上世帯と単身世帯を混ぜずに見ることが大切です。J-FLECの公開資料全体は調査・統計データ集で確認できます。
数字から分かることと分からないこと
| 問い | このデータで分かるか | 理由 |
|---|---|---|
| 純金融資産1億円以上は何世帯か | 推計として分かる | NRIが165万3,000世帯と推計 |
| 全世帯の何%か | NRI推計内で計算できる | 165.3万世帯を5,570.4万世帯で割る |
| 富裕層が持つ純金融資産の割合 | NRI推計内で計算できる | 469兆円を1,795兆円で割る |
| 富裕層の年齢中央値 | 分からない | 階層別世帯数の公表表に中央値がない |
| 年収1,200万円以上で1億円を超える割合 | 分からない | J-FLECの収入別表は平均で分布を示さない |
| 富裕層の生活費 | 分からない | 資産階層と消費額は別データ |
| 2026年現在の正確な世帯数 | 分からない | 最新確認資料の対象年は2023年 |
| 1億円あれば老後が安全か | 分からない | 支出、年齢、家族、運用リスクで異なる |
統計は自分の家計を判定する物差しにはなりますが、人生設計の答えそのものではありません。1億円を持っていても、子どもの教育費、介護、住宅更新、税負担が大きければ余裕は変わります。反対に1億円未満でも、年金収入が生活費を上回り、負債がなく、支出が安定していれば家計は持続しやすい場合があります。
自分の純金融資産を確認する方法
自分がNRIの分類でどこに当たるかを概算するなら、基準日を一つ決め、世帯全体の金融資産と負債を同じ日にそろえて集計します。配偶者の口座を無断で調べるのではなく、目的を共有して本人同士で確認してください。
| 手順 | 確認するもの | 実務上の注意 |
|---|---|---|
| 1 | 普通預金、定期預金、現金 | 複数銀行と休眠口座も確認 |
| 2 | 株式、債券、投資信託 | 取得額ではなく同じ基準日の時価 |
| 3 | 対象となる保険・年金商品 | 商品ごとの評価方法を確認 |
| 4 | 住宅ローン、カードローンなどの負債 | 当初借入額ではなく残高 |
| 5 | 金融資産合計から負債を控除 | 自宅の時価を金融資産へ足さない |
| 6 | 集計日と根拠資料を保存 | 相場変動後に同じ方法で更新 |
集計式は「預貯金+市場性金融資産+対象保険など-負債」です。個人事業や非上場株式、暗号資産など、公開資料だけでは扱いが明確でない資産を厳密にNRI推計へ当てはめることは困難です。自分用の家計管理では項目を別立てにし、「NRI型の概算」と「不動産や事業を含む家計純資産」の二つを管理すると誤解が減ります。
富裕層という数字を投資判断へ直結させない
富裕層世帯が増えたという事実は、株式を今すぐ増やせば同じ結果になることを意味しません。2023年までの価格上昇が数字を押し上げた一方、将来の下落では逆方向に動きます。金融庁もNISAを知るで長期、積立、分散の考え方を示していますが、損失がなくなる制度ではありません。
| ありがちな判断 | 問題点 | 代わりに確認すること |
|---|---|---|
| 1億円を最短で目指して株式比率を上げる | 下落時の損失と生活資金不足が大きくなる | 使う時期、生活防衛資金、許容下落額 |
| 富裕層は株式が多いので一社株へ集中する | 企業固有リスクと勤務先リスクが重なる | 銘柄、地域、資産クラスの集中度 |
| 含み益で1億円を超えたので固定費を増やす | 相場下落後も固定費だけが残る | 税引後の実現可能資金と継続収入 |
| 平均資産が高い年収帯だから安心する | 平均は自分の負債や支出を反映しない | 自世帯の貸借対照表と年間収支 |
| 富裕層向け商品なら安全だと考える | 複雑、高コスト、低流動性の商品もある | 手数料、解約条件、最大損失、比較商品 |
この記事は統計の読み方を解説するもので、特定の金融商品の推奨ではありません。純金融資産が大きいほど、1%の値動きや手数料が金額として大きくなります。1億円の1%は100万円です。資産額が増えた後こそ、期待収益率だけでなく、集中リスク、税、換金性、家族が把握できる管理体制を確認する必要があります。
参照ニュースを読む際の重要な補足
今回の論点はYahoo!ニュース掲載記事と、その配信元であるLIMOの記事を出発点にしています。主要数値はNRIとJ-FLECの一次資料で照合しました。ニュースの結論を使う場合でも、調査年、公表年、世帯か個人か、総資産か金融資産か、平均か中央値かを確認すると誤読を防げます。
| 表現 | より正確な読み方 |
|---|---|
| 日本の富裕層は165万世帯 | NRIが2023年時点の純金融資産1億円以上を165万3,000世帯と推計 |
| 富裕層は全体の3% | NRIの全5階層合計に対して2.97% |
| 3%が469兆円を持つ | 富裕層以上がNRI推計内の純金融資産1,795兆円の26.1%を保有 |
| 高年収ほど投資割合が高い | J-FLECでは1,200万円以上区分の債券・株式・投信比率が50.0%、ただし平均額ベース |
| 会社員でも1億円を作れる | NRIは該当例を示すが、到達可能性や再現性を保証していない |
よくある質問

純金融資産1億円以上は日本に何世帯ありますか
NRIの2023年推計では165万3,000世帯です。内訳は富裕層153万5,000世帯と超富裕層11万8,000世帯です。2025年2月公表の資料であり、2026年の実測値ではありません。
富裕層は日本の何%ですか
NRIの全5階層合計5,570万4,000世帯を分母にすると、純金融資産1億円以上は2.97%です。四捨五入して約3%、約34世帯に1世帯です。人口割合ではありません。
469兆円は何を合計した金額ですか
富裕層の純金融資産334兆円と超富裕層の135兆円を足した金額です。全5階層の純金融資産1,795兆円に対して26.1%に当たります。
自宅を含めて1億円なら富裕層ですか
NRIの分類では、自宅の時価を金融資産へ加えません。預貯金、株式、債券、投資信託などから負債を差し引くため、自宅込みの総資産が1億円でも該当しない場合があります。
住宅ローンは純金融資産から引きますか
はい。NRIは金融資産の合計から不動産購入に伴う借入などの負債を差し引くと説明しています。ローン残高の大きい世帯は、金融資産残高より純金融資産が小さくなります。
1億円以上なら税制上も富裕層ですか
いいえ。NRIの富裕層は民間の市場分析上の分類です。純金融資産が1億円を超えただけで一律の富裕層税率へ切り替わる制度ではありません。税は所得、取引、保有資産、相続など個別制度で判定されます。
165万3,000世帯は国の統計ですか
国の行政記録を単純集計した数ではありません。NRIが国税庁、総務省、人口関連統計、TOPIX、独自アンケートなどを組み合わせて算出した民間推計です。
2026年にはもっと増えていますか
可能性はありますが、この資料だけでは断定できません。株価、為替、相続、負債、資金流出で上下します。2026年8月28日時点で確認できる最新のNRI階層別公表推計は2023年対象です。
年収1,200万円以上なら富裕層になりやすいですか
J-FLEC調査では同区分の金融資産平均は5,635万円で全体平均を上回りますが、富裕層比率は公表表から分かりません。収入、貯蓄率、年齢、運用期間、相続、負債で大きく変わります。
J-FLECの平均5,635万円から住宅ローンを引いていますか
いいえ。参照した表6は金融商品保有額の平均で、負債控除後の純金融資産ではありません。NRIの1億円基準と直接比較できません。
いつの間にか富裕層は何世帯ですか
NRIは富裕層以上の1割から2割程度と推察していますが、直接数えた実数ではありません。相場データとアンケートからの試算なので、特定の世帯数として断定しない方が適切です。
富裕層の平均資産はいくらですか
公表された総額と世帯数の単純割りでは、1億円以上5億円未満の富裕層が約2億1,759万円、超富裕層を合わせると約2億8,373万円です。個別回答の平均ではなく、超富裕層の影響も受ける計算値です。
金融資産1億円を目標にすべきですか
1億円はNRIの分類境界であり、全員共通の必要額ではありません。年間支出、年金、退職時期、住居、家族構成、リスク許容度から自分の必要額を決める方が合理的です。
まとめ

| 最終確認 | 答え |
|---|---|
| 純金融資産1億円以上の世帯数 | NRIの2023年推計で165万3,000世帯 |
| 割合 | 全5階層合計の2.97%、約3% |
| 純金融資産総額 | 469兆円、全階層合計の26.1% |
| 定義 | 金融資産から負債を差し引き、自宅不動産は加えない |
| 年収別データ | J-FLEC二人以上世帯5,000世帯の平均で、NRI推計とは別指標 |
| 最新性 | 2026年8月28日時点で確認した最新NRI公表推計の対象年は2023年 |
純金融資産1億円以上が165万3,000世帯という数字は、NRIの一次資料で確認できます。約3%と469兆円も計算上正しい一方、世帯割合を人口割合へ変えたり、自宅込み資産へ読み替えたりしてはいけません。
ニュースを見るときは「誰を数えたか」「何を資産に含めたか」「負債を引いたか」「平均か中央値か」「何年時点か」の五つを確認してください。自分の家計では富裕層という名称より、使う時期に合った資産配分、負債、税引後の生活費、相場下落時にも続けられる計画の方が重要です。
