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キオクシアの目標株価13万円台と株価5万円台の差はなぜ?急落の理由と株式分割後の見方

※本記事はプローモーションが含まれています。

キオクシアホールディングス(285A)の株価は、2026年6月22日に付けた高値112,700円から大きく下がり、2026年9月25日の終値は55,780円でした。一方で、野村證券は9月に目標株価を131,000円へ引き上げ、ほかの証券会社も10万円を超える目標株価を示しています。株価は目標株価の半分以下にとどまっていますが、目標株価が高いからといって株価がそこへ戻ると決まっているわけではありません。

この記事では、目標株価とは何を示す数字なのかを証券会社と日本証券業協会の資料で確認し、7月の急落で実際に何が起きたのか、決算と見通しがどうだったのかを会社の開示で整理します。あわせて、9月29日の権利落ちから株価と目標株価の表示がおよそ3分の1になる点も計算で示します。内容は2026年9月27日時点の公開情報に基づいており、株価は2026年9月25日の終値を使っています。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。

先に結論、5つの疑問への答え

疑問答え根拠
目標株価は到達が約束された数字か違う。アナリストが業績予想などから出した見立てで、野村證券は実際の株価が目標株価に達しない可能性があると明記している野村證券のレーティングと目標株価の説明
「Buy」は株価が上がるという意味か違う。野村證券のBuyは、今後12ヶ月の値動きがベンチマークを上回ると予想するという相対的な評価同上
7月17日のストップ安は特許訴訟が原因かそれだけでは説明しにくい。会社が陪審評決を開示したのは13時で、株価は午前中にストップ安の水準に達していた。同じ日に日経平均も4.03%下がった会社開示、株価の時系列、報道
業績は悪くなったのか悪くなっていない。第1四半期は大幅増収増益で、第2四半期も増収増益の見通し。会社は年度計画値を出していない決算短信
9月29日から何が変わるか1株につき3株の株式分割の権利落ちで、株価はおよそ3分の1の表示になる。目標株価も3で割って比べる必要がある株式分割の開示、JPXの権利落等情報

目標株価と株価の差は、アナリストの業績予想と、市場がその利益をどれくらい長く続くと見ているかの違いから生まれます。差が大きいことは、それ自体では買う理由にも売る理由にもなりません。


株価はどう動いたのか

まず、2026年の株価の動きを日付と終値で確認します。株価は株価時系列データの終値で、高値だけは取引時間中の値です。

日付株価できごと
2026年1月5日11,350円大発会の終値
2026年6月22日高値112,700円、終値108,700円2026年の高値。大発会の終値の9.93倍
2026年7月16日62,110円前日比15.03%安
2026年7月17日52,110円ストップ安。前日比16.10%安
2026年7月28日44,550円再びストップ安。前日比18.33%安
2026年7月29日38,380円7月17日以降で最も安い終値。翌30日には取引時間中に36,020円まで下げた
2026年7月31日46,500円ストップ高。前日比17.72%高
2026年9月25日55,780円この記事の基準の終値

高値112,700円から7月17日の終値までの下落率は53.76%、7月29日の終値までは65.94%です。そこから9月25日までに45.34%戻しましたが、高値と比べると50.51%低い水準です。9月の終値は49,880円から59,530円の範囲で動いており、8月3日から9月25日までの36営業日のうち、終値が前日から5%以上動いた日は15日ありました。値動きの大きさ自体が、この銘柄の特徴になっています。

時点株価時価総額
6月22日の高値112,700円約61.8兆円
7月17日の終値52,110円約28.6兆円
高値から7月17日までの減少60,590円安約33.2兆円
7月17日の1日の減少10,000円安約5.48兆円
9月25日の終値55,780円約30.6兆円

この時価総額は株価に発行済株式総数をかけた概算で、自己株式を除いていません。8月に取得した自己株式を除くと数字は少し小さくなります。

目標株価とは何を示す数字か

野村證券の証券用語解説集は、目標株価を、企業の財務状況や業績予想、期待収益率、同業他社との比較などをもとに導き出した株価水準と説明しています。証券会社のアナリストが担当する銘柄ごとに算出し、投資判断とあわせてレポートに載せることが多い数字です。

目標株価の書き方にはルールがあります。日本証券業協会のアナリスト・レポートの取扱い等に関する規則は、レポートにレーティングや目標株価を載せる場合、レーティングの定義と、目標株価についての根拠及び達成の予想期間が明確に表示されているかを審査するよう定めています。つまり、目標株価は根拠と期間がセットになった予想であり、単独の数字だけで読むものではありません。

資料示していること読み方
野村證券 証券用語解説集財務状況、業績予想、期待収益率、同業他社比較などから導く株価水準前提の予想が変われば目標株価も変わる
野村グループのレーティング定義今後12ヶ月での達成が期待される水準。計算方法はディスカウント・キャッシュフロー、期待ROE、相対評価などをアナリストが定める期間は12ヶ月。方法は一つではない
同上業績動向や市場、経済環境などのリスクにより、目標株価に達しない可能性がある到達の保証ではない
日本証券業協会の規則目標株価には根拠及び達成の予想期間の表示が必要数字だけでなく根拠と期間を確認する
キオクシアのアナリストカバレッジ会社は掲載アナリストの予測や推奨を支持せず、正確性も保証しない会社が認めた数字ではない

「高い目標株価が出ているのだから、いずれ目標株価まで戻るはず」と考えるのは自然ですが、野村證券自身が達しない可能性を明記しています。目標株価は、ある前提のもとでの予想の一つとして扱うのが公式資料に沿った読み方です。

「Buy」は株価が上がるという意味ではない

野村證券の投資情報アプリのアナリストレポートに関する説明には、野村グループのレーティングの定義が載っています。レーティングは、ベンチマークに対する個別企業の予想パフォーマンスを表す相対的な仕組みで、日本株のベンチマークはRussell/Nomura Large Capです。

レーティング定義
1またはBuy今後12ヶ月間のパフォーマンスが、ベンチマークを上回るとアナリストが予想する場合
2またはNeutral今後12ヶ月間のパフォーマンスが、ベンチマーク並みとアナリストが予想する場合
3またはReduce今後12ヶ月間のパフォーマンスが、ベンチマークを下回るとアナリストが予想する場合
レーティング保留(Suspended)法令や社内規定などにより、一時的にレーティング、目標株価、業績予想を保留する場合

Buyの定義は「市場全体の値動きより良くなる」という予想で、株価の上昇を約束するものではありません。市場全体が下がる局面では、Buyの銘柄も下がることがあり得ます。証券会社によって段階の数や表現は違うため、他社のレーティングを読むときは、その会社の定義を確認します。


野村證券の目標株価はこう変わってきた

野村證券のキオクシアの目標株価は、2026年に何度も引き上げられています。株探のレーティング日報に載った日付ごとに並べると次のとおりです。前営業日の終値は、各報道の時点で分かっていた直近の株価です。

報道日目標株価変更幅前営業日の終値終値との差
2026年4月16日38,000円から51,000円34.21%上げ32,410円57.36%上
2026年5月18日51,000円から68,000円33.33%上げ44,450円52.98%上
2026年6月10日68,000円から115,000円69.12%上げ76,450円50.43%上
2026年7月17日115,000円から126,000円9.57%上げ62,110円102.87%上
2026年9月9日126,000円から131,000円3.97%上げ57,410円128.18%上

4月の51,000円から9月の131,000円まで、目標株価は2.57倍になりました。報道日は判断の翌日になることがあり、9月9日に報じられた引き上げは野村證券の8日付の判断です。

表からは、目標株価が株価を先回りして引っ張っただけではないことも分かります。5月18日の終値51,450円は、4月の目標株価51,000円を450円上回っていました。6月22日の高値112,700円は、6月10日に示された115,000円の98.0%の水準です。株価が目標株価に近づくと目標株価が引き上げられるという順番になっている時期もあり、目標株価は業績予想の更新とともに動く数字だと分かります。

反対に、7月以降は株価が下がる中で目標株価が引き上げられ、株価との差が100%を超えました。アナリストが業績の見通しを引き上げた一方で、市場の株価はそれとは別の要因で動いたと考えられます。

証券会社ごとに目標株価は違う

キオクシアを分析するアナリストは野村證券だけではありません。会社のアナリストカバレッジのページ(2026年8月24日更新)には、国内外19件のアナリストが載っています。ただし会社は、一覧が完全とは限らず、掲載アナリストの予測や推奨を支持するものでもないと明記しています。

報道や証券会社の自社メディアで確認できた直近の目標株価と、9月25日の終値55,780円との差は次のとおりです。いずれも最上位の投資判断を続けたうえでの数字です。

証券会社確認した日目標株価終値からの上昇率分割後の換算
楽天証券2026年8月3日140,000円(維持)150.99%46,666.67円
岩井コスモ証券2026年8月4日135,000円142.02%45,000円
野村證券2026年9月9日131,000円134.85%43,666.67円
UBS証券2026年8月3日144,000円から126,000円に引き下げ125.89%42,000円
大和証券2026年8月3日123,000円から111,000円に引き下げ99.00%37,000円

最も高い140,000円と最も低い111,000円の差は29,000円です。注目したいのは、第1四半期決算の直後に、大和証券とUBS証券が最上位の評価を続けながら目標株価を引き下げていることです。強い決算でも、前提の置き方によって目標株価は上にも下にも動きます。表の値は確認できた日の時点のもので、その後に変更されている可能性があります。

同じ予想でも前提で目標株価は2倍変わる

目標株価の根拠が公開されている例として、楽天証券の決算レポート(2026年8月3日)があります。楽天証券経済研究所のアナリストは、今後6から12カ月間の目標株価を140,000円に据え置き、その考え方を次のように示しました。

想定当てはめたPER計算される株価
2027年以降にNAND価格が横ばいになり、四半期業績も横ばいになる5倍82,000円
2029年3月期も二桁の増収増益が続く10倍165,000円
レポートの目標株価約8.46倍(予想利益で割った計算値)140,000円

同じ予想利益を使っても、想定するPERを5倍にするか10倍にするかで、計算される株価は2.01倍違います。9月25日の終値55,780円は、この予想利益の3.37倍にあたります。市場の株価は、この予想利益がそのまま実現するとは見ていない、あるいは実現しても長くは続かないと見ている、という読み方ができます。どちらが正しいかは、この先の業績で確かめるしかありません。

会社の数字だけで同じような試算もできます。第1四半期の実績の1株当たり利益と、会社が示した第2四半期の見通しを使います。これは株価と目標株価の差を理解するための単純な試算で、証券会社の算定方法ではありません。

1株当たり利益の置き方年間の1株当たり利益株価55,780円のPER目標株価131,000円のPER
上期(第1四半期実績1,539.91円と第2四半期見通し2,317.46円の合計3,857.37円)を2倍7,714.74円7.23倍16.98倍
第2四半期の見通しを4倍9,269.84円6.02倍14.13倍

足元の利益を1年分に伸ばすと、株価のPERは6から7倍台、野村證券の目標株価のPERは14から17倍前後になります。差の大きな部分は、足元の高い利益がどれだけ続くかについての見方の違いだと考えられます。会社自身も、半導体メモリ業界は事業環境が短期間に大きく変化する特徴があると説明しています。

7月17日のストップ安で何が起きたのか

7月17日の急落は、米国の特許訴訟と結びつけて語られることがあります。会社の開示を確認すると、この日に出たのは裁判所の判決ではなく陪審評決でした。

キオクシアの陪審評決に関するお知らせによると、子会社のキオクシア株式会社とKioxia America, Inc.は、米国法人のViasat, Inc.から特許権の侵害で訴えられており、米国時間2026年7月16日に米国テキサス州西部地区連邦地方裁判所で原告の主張を認める陪審評決が出ました。損害賠償金は暫定で約2億2,900万ドル、1ドル162円の換算で約371億円です。その後の判決に関するお知らせでは、米国時間2026年7月31日に評決に基づく支払いを命じる判決が出ています。

日時できごと
米国時間2021年11月29日Viasat, Inc.が特許権の請求項1件の侵害で提訴
2026年7月16日(東京)キオクシアの株価は前日比15.03%安。日経平均は2.79%安。評決の前の取引日
米国時間2026年7月16日陪審評決。損害賠償金は暫定で約371億円
2026年7月17日の午前株価が一時ストップ安の水準52,110円に。報道は前日の米国で半導体株指数が4%を超えて下がり、同業のサンディスクが12%を超えて下がったことや、信用買いの積み上がりを伝えた
2026年7月17日13時会社が陪審評決を開示
2026年7月17日の終値52,110円でストップ安。日経平均は4.03%安
米国時間2026年7月31日判決。損害賠償金は約2億2,900万ドル、1ドル160円の換算で約366億円
2026年8月3日会社が判決を開示。第1四半期に約2億2,900万ドルを訴訟損失引当金として計上済みと説明

時刻を並べると、株価がストップ安の水準に達したのは、会社が陪審評決を開示する前でした。株価は前日の16日にも15.03%下がっており、15日の終値から17日の終値までの2日間では28.71%の下落です。評決の情報が開示前に市場で伝わっていた可能性は否定できませんが、少なくとも「裁判所が支払いを命じたから急落した」という説明は、日付の上で正確ではありません。支払いを命じる判決は2週間後の米国時間7月31日です。

比べる対象金額訴訟の金額の割合
7月17日に減った時価総額約5.48兆円評決額371億円は0.68%
第1四半期の営業利益1兆2,700億円判決額366億円は2.88%
第2四半期の営業利益の見通し1兆8,900億円判決額366億円は1.94%

訴訟の金額は、1日で減った時価総額の1%にも届きません。会社は評決と判決のどちらについても到底容認できないとして、控訴を含むあらゆる法的手段をとる方針を示し、製品やサービスの提供への影響はないとしています。訴訟は材料の一つですが、半導体株全体の売りなど、訴訟以外の要因も大きかったと見るほうが、数字とは整合します。

7月28日の2回目のストップ安も、株探の報道では、前日に米国のサンディスクが11%下がったことや、中国の半導体メモリ企業の上場、韓国の半導体株の急落が背景として伝えられました。この日の日経平均は3.95%安です。当時の急落についてはキオクシアがストップ安になった理由でも解説しています。


ストップ安とストップ高の仕組み

東京証券取引所は、1日の値動きの幅を価格水準に応じて制限しています。JPXの制限値幅の説明によると、前日の終値などを基準値段とし、その区分ごとに上下の値幅が決まっています。

基準値段制限値幅キオクシアの例
15,000円以上20,000円未満上下4,000円分割後の株価がこの区分に入る見込み
30,000円以上50,000円未満上下7,000円7月30日の終値39,500円から、31日は46,500円でストップ高
50,000円以上70,000円未満上下10,000円16日の終値62,110円から、17日は52,110円でストップ安。27日の54,550円から、28日は44,550円でストップ安
70,000円以上100,000円未満上下15,000円15日の終値73,100円が基準の16日は、ストップ安の58,100円まで下げなかった

7月31日のストップ高は、第1四半期決算の発表前でした。決算短信や株式分割、自己株式取得の開示は、大引けの15時30分です。ストップ高とストップ安が1週間ほどの間に続いたことは、決算の内容とは別に、需給で株価が大きく振れていたことを示しています。

決算は悪くなったのか

株価が下がると業績の悪化を想像しがちですが、キオクシアの2027年3月期第1四半期決算短信は大幅な増収増益でした。売上収益は1兆7,671億円で前年同期の3,428億円から大きく増え、営業利益は1兆2,700億円でした。会社は、生成AI用途を中心としたデータセンター向けの需要が旺盛で、平均販売単価が大幅に上がったことを理由に挙げています。

一方、5月の2026年3月期決算短信で示した第1四半期の見通しと比べると、国際会計基準の営業利益と純利益は見通しを下回りました。

項目見通し実績差
売上収益1兆7,500億円1兆7,671億円171億円上回る
Non-GAAP営業利益1兆3,000億円1兆3,262億円262億円上回る
営業利益1兆2,980億円1兆2,700億円280億円下回る
親会社の所有者に帰属する四半期利益8,690億円8,422億円268億円下回る

営業利益が見通しに届かなかった280億円は、訴訟損失引当金366億円より小さい金額です。一過性の項目を除くNon-GAAP営業利益は、見通しを262億円上回っています。楽天証券のレポートは、販売単価は会社の想定を上回った一方、一部の出荷が第2四半期にずれたことや、株式報酬費用の増加なども要因に挙げています。

項目第1四半期の実績第2四半期の見通し前四半期比
売上収益1兆7,671億円2兆3,900億円35.2%増
営業利益1兆2,700億円1兆8,900億円48.8%増
親会社の所有者に帰属する四半期利益8,422億円1兆2,700億円50.8%増
基本的1株当たり四半期利益1,539.91円2,317.46円777.55円増

会社は半導体メモリ業界の事業環境が短期間に大きく変化することを理由に、年度計画値の記載を省略しており、見通しは次の四半期の分だけです。通期の利益はアナリストがそれぞれ予想するしかなく、ここに目標株価のばらつきが生まれる理由があります。5月の決算時の値動きはキオクシア決算でストップ高の理由にまとめています。

9月29日から株価も目標株価も3分の1の表示になる

キオクシアは7月31日の株式分割に関するお知らせで、2026年9月30日を基準日として普通株式1株につき3株に分割すると発表しました。効力発生日は2026年10月1日です。JPXの配当落・権利落等情報では、キオクシアの分割の権利落日(普通取引)は2026年9月29日となっています。

日付位置づけ意味
2026年9月28日(月)権利付最終日この日までに買えば分割の対象になる
2026年9月29日(火)権利落日株価は分割を反映した水準で取引される
2026年9月30日(水)基準日この日の株主名簿で分割の対象の株主が決まる
2026年10月1日(木)効力発生日発行済株式総数は1,644,045,264株になる見込み

JPXの用語集の権利落の説明では、権利確定日の1営業日前から権利落として売買され、権利落日の株価は権利の相当分だけ下がります。9月25日の終値を使うと、分割後の理論上の株価は18,593.33円です。

項目分割前分割後の換算
9月25日の終値55,780円18,593.33円
野村證券の目標株価131,000円43,666.67円
6月22日の高値112,700円37,566.67円
7月29日の終値38,380円12,793.33円
自己株式の平均取得価格49,586.12円16,528.71円
大発会の終値11,350円3,783.33円

分割後に新しく出る目標株価は、分割後の株価と比べられるよう調整された数字になっている可能性があります。ニュースで「目標株価4万円台」と見たときに、分割前の131,000円と比べて引き下げられたと誤解しないよう注意が必要です。反対に、分割前の目標株価と分割後の株価をそのまま比べると、差を過大に見積もってしまいます。

項目分割前分割後
株数100株300株
1株の株価55,780円18,593.33円
保有額5,578,000円5,578,000円(理論上は同じ)
100株を買うのに必要な金額5,578,000円(約558万円)1,859,333円(約186万円)
1日の制限値幅上下10,000円(株価の17.93%)上下4,000円(株価の21.51%)

分割で株数が3倍になっても、株価が3分の1になるので保有価値は変わりません。1株当たり利益も3分の1になり、先ほどの上期を2倍する試算なら7,714.74円が2,571.58円になるので、PERも変わりません。「分割で株価が3分の1になったから割安」ということもありません。一方で、制限値幅は株価の水準で決まるため、株価に対する割合は17.93%から21.51%に広がる計算です。1日に動き得る幅が割合では大きくなる点は知っておいて損はありません。分割後も100株を買うには約186万円が必要で、会社は東京証券取引所が望ましいとする50万円未満への移行を引き続き検討するとしています。9月に分割する他の銘柄は2026年9月の株式分割予定の一覧で確認できます。

なお、同じ決算短信の配当予想では、第2四半期末の配当は0円です。権利付最終日に買っても、中間配当は見込まれていません。

いまの株価を判断する前に確認したいこと

目標株価との差だけで判断せず、株価を動かしている材料を一つずつ確認します。2026年9月27日時点で分かっていることと、まだ分からないことを分けると次のとおりです。

材料分かっていること確認先
第2四半期決算発表日はIRカレンダーに未掲載。前年の第2四半期決算は2025年11月13日IRカレンダー
第2四半期の実績と次の見通し7月から9月は売上収益2兆3,900億円の見通し。10月以降の見通しは未発表決算短信
特許訴訟判決は出たが、会社は控訴を含む法的手段をとる方針。約2億2,900万ドルは引当金に計上済み適時開示
米国預託株式の上場5月15日に準備を公表。9月15日の報道を受け、会社は時期、市場、方法は未定で、上場しない可能性もあると説明会社のニュース
大株主8月3日に筆頭株主が入れ替わった。東芝の保有は79,028,900株から77,038,200株へ1,990,700株減った主要株主の異動の開示
自己株式取得8月3日から10日に16,133,500株を約8,000億円で取得し、終了した。平均は49,586.12円で、9月25日の終値はこれを12.49%上回る取得終了の開示
指数の需給TOPIXなどの浮動株比率の定期見直しを10月最終営業日と11月最終営業日の2段階で適用。見直し後の比率は10月の第5営業日(2026年10月7日)に公表JPXの発表

米国預託株式の上場については、会社の上場準備に関するお知らせと、9月15日の一部報道についての説明が一次情報です。大株主の動きは主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ、自己株式取得は取得枠の設定と取得終了の開示で確認できます。8,000億円の取得枠は8月10日に使い終わっており、10月30日まで会社の買いが続くわけではありません。浮動株比率の扱いはJPXのキオクシアホールディングスの取扱いについてで公表されています。TOPIXの需給と買い増しの考え方はキオクシア株の買い増しは危険かで詳しく扱っています。

NISAの成長投資枠で個別株を持つ場合は、損失の扱いも確認します。国税庁のNISA制度の説明では、NISA口座で出た売却損はないものとみなされ、特定口座や一般口座の利益との損益通算や繰越控除はできません。値動きの大きい1銘柄に資金を集中させると、損失の影響も大きくなります。金融庁の資産形成の基本は、値動きの異なる複数の資産に分けて投資すると価格の変動をある程度抑えられると説明しています。下落局面での考え方はオルカンが50%下落したらも参考になります。

よくある誤解

よくある受け止め確認できる事実
目標株価まで戻るはず目標株価は12ヶ月の予想で、野村證券は達しない可能性を明記している
Buyは株価が上がるという意味野村證券のBuyはベンチマークを上回るという相対的な予想
裁判所が支払いを命じたから急落した7月17日に出たのは陪審評決で、会社の開示は13時。判決は米国時間7月31日
業績が悪くなったから株価が下がった第1四半期は大幅増収増益で、第2四半期も増収増益の見通し
目標株価の差が大きいほど割安で、下がったから買い時差は利益がどれだけ続くかの見方の違い。差だけでは判断できない
分割で株価が3分の1になったから割安株数が3倍になるので保有価値は変わりません
分割後に目標株価が4万円台に下がった分割前の131,000円を3で割ると43,666.67円。基準が違うだけ
自社株買いが10月末まで株価を支える取得枠は8月10日に使い終わり、取得は終了している


よくある質問

キオクシアの目標株価はいくらですか

確認できた範囲では、野村證券が131,000円(2026年9月9日の報道)、楽天証券が140,000円(8月3日)、岩井コスモ証券が135,000円(8月4日の報道)、UBS証券が126,000円、大和証券が111,000円(いずれも8月3日の報道)です。いずれも分割前の基準で、その後に変更されている可能性があります。

目標株価はいつまでに達成される想定ですか

野村グループの定義では、今後12ヶ月での達成が期待される水準です。楽天証券のレポートは今後6から12カ月間の目標株価としています。期間は証券会社ごとにレポートに書かれています。

目標株価が株価の2倍以上なら割安と考えていいですか

それだけでは判断できません。目標株価は、アナリストの業績予想と想定するPERから計算されます。9月25日の株価55,780円は楽天証券の2028年3月期の予想1株当たり利益の3.37倍で、市場はその予想をそのまま信じていないとも読めます。

なぜ決算が良くても目標株価を下げる証券会社があるのですか

目標株価は将来の利益の見込みと、その利益にどのくらいの評価を与えるかで決まるためです。8月3日には、大和証券とUBS証券が最上位の評価を続けながら目標株価を引き下げました。個別の理由は各社のレポートで示されています。

7月17日にストップ安になった理由は何ですか

一つに決めることはできません。会社が陪審評決を開示したのは13時で、株価は午前中にストップ安の水準に達していました。報道は、前日の米国の半導体株安や信用買いの積み上がりを伝えています。同じ日に日経平均は4.03%下がりました。

特許訴訟で会社はいくら払うのですか

判決の損害賠償金は約2億2,900万ドルで、1ドル160円の換算で約366億円です。会社は第1四半期にこの金額を訴訟損失引当金として計上しました。会社は控訴を含む法的手段をとる方針で、最終的な金額はまだ確定していません。

キオクシアの業績は悪くなったのですか

悪くなっていません。第1四半期の売上収益は1兆7,671億円、営業利益は1兆2,700億円で、第2四半期は売上収益2兆3,900億円、営業利益1兆8,900億円の見通しです。ただし会社は年度計画値を出していません。

株式分割の権利を得るにはいつまでに買えばいいですか

権利付最終日の2026年9月28日までに買う必要があります。9月29日が権利落日で、基準日は9月30日、効力発生日は10月1日です。分割で保有価値が増えるわけではありません。

分割後に株価が3分の1になったら損をしますか

損はありません。株数が3倍になるので、理論上の保有額は変わりません。9月25日の終値55,780円を基準にすると、分割後の理論上の株価は18,593.33円です。

分割後、目標株価はどう読めばいいですか

分割前の目標株価を3で割ってから比べます。野村證券の131,000円は43,666.67円、大和証券の111,000円は37,000円に相当します。報道の数字が分割前と分割後のどちらの基準かを確認してください。

自社株買いはまだ続いていますか

続いていません。取得期間は10月30日までとされていましたが、8月3日から10日までに16,133,500株を約8,000億円で取得し、取得は終了しています。

次の決算発表はいつですか

2026年9月27日時点で、第2四半期の決算発表日はIRカレンダーに載っていません。前年の第2四半期決算は2025年11月13日に発表されました。

米国での上場は決まったのですか

決まっていません。会社は米国預託株式の上場準備を進めていると公表していますが、9月15日に、時期、市場、方法は未定で、上場しない可能性もあると説明しています。

NISAでキオクシア株を持つ場合の注意点はありますか

NISA口座で出た売却損は、特定口座や一般口座の利益と損益通算できず、繰越控除もできません。値動きが大きい銘柄なので、1銘柄に資金を集中させすぎないことが大切です。

今後、何を見ればいいですか

第2四半期決算と次の四半期の見通し、NAND型フラッシュメモリの価格動向、特許訴訟の控訴、米国預託株式の上場の動き、大株主の保有の変化です。証券会社の目標株価は、これらの材料で更新されていきます。


まとめ

キオクシアの株価は、2026年6月22日の高値112,700円から半分程度の55,780円(9月25日の終値)にあり、証券会社の目標株価は111,000円から140,000円に分かれています。目標株価は、アナリストの業績予想と想定するPERから出した12ヶ月の見立てで、到達が約束された数字ではありません。野村證券のBuyも、ベンチマークを上回るという相対的な予想です。

7月17日のストップ安は、特許訴訟の陪審評決と結びつけて語られますが、会社の開示は13時で、株価はその前にストップ安の水準に達していました。訴訟の金額は1日で減った時価総額の0.68%です。業績は第1四半期も第2四半期の見通しも大きく伸びており、株価と目標株価の差は、足元の高い利益がどれだけ続くかについての見方の違いだと考えられます。

9月29日の権利落ちからは、株価も目標株価も3分の1の水準で表示されます。分割後の数字を見るときは、分割前の数字を3で割ってから比べてください。この記事は特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資の判断は、最新の開示と決算を確認したうえでご自身で行ってください。

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