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2026年9月に中間配当の権利がある高配当株を探すなら、利回りの数字だけでなく、増配を支えるルールと直近業績を一緒に確認することが重要です。本記事では、東急不動産ホールディングス、デンソー、いすゞ自動車、東鉄工業、熊谷組の5社を同じ基準で比較しました。
結論からいうと、5社はいずれも2027年3月期の年間配当について前期実績を上回る会社予想を出しています。2026年8月28日終値で計算した予想配当利回りは約3.76%から4.22%です。ただし、同じ増配予想でも、累進配当を明記する会社、DOEを重視する会社、利益連動の配当性向を軸にする会社があり、減配への耐性は同じではありません。
| 銘柄 | 予想利回り | 年間配当予想 | 100株必要額 | 還元方針の要点 |
|---|---|---|---|---|
| 東急不動産HD 3289 | 3.76% | 50円 | 13万3,050円 | 配当性向35%以上、累進配当 |
| デンソー 6902 | 3.86% | 74円 | 19万1,550円 | DOEの継続的上昇、長期安定配当 |
| いすゞ自動車 7202 | 4.22% | 94円 | 22万2,750円 | 配当性向を意識した還元 |
| 東鉄工業 1835 | 3.80% | 152円 | 40万円 | DOE3%以上、累進配当 |
| 熊谷組 1861 | 3.86% | 50円 | 12万9,700円 | 配当性向40%目途 |
株価、PER、PBR、年初来高値は2026年8月28日終値時点です。配当は各社の2027年3月期会社予想で、将来の支払いが確定した金額ではありません。配当予想は保証ではありません。株価下落、業績悪化、減配による元本割れの可能性があります。
2026年9月の権利日はいつか

5社の中間配当基準日は、いずれも2026年9月30日です。日本株の普通取引はT+2決済のため、9月30日に株主名簿へ記録されるには、原則として9月28日までに買付約定が必要です。9月29日は権利落ち日となります。決済制度は日本取引所グループのT+2化の案内で確認できます。
| 日付 | 位置付け | 投資家が確認すること |
|---|---|---|
| 2026年9月28日 月曜日 | 権利付最終日 | この日までの買付約定が原則必要 |
| 2026年9月29日 火曜日 | 権利落ち日 | この日の買付では9月末の中間配当の権利は得られない |
| 2026年9月30日 水曜日 | 権利確定日 | 株主名簿上の基準日 |
権利付最終日に買って翌日に売れば、配当の権利自体は得られます。しかし、権利落ち日には理論上、配当相当額を意識した売りが出やすく、株価変動が配当額を上回る場合があります。配当だけを目的にした短期売買は、税金、売買手数料、スプレッド、価格変動まで含めて考える必要があります。
5社を選んだ条件と比較方法
今回の対象は、9月末に中間配当の基準日があり、2027年3月期の年間配当会社予想が2026年3月期実績を上回り、8月28日終値で予想配当利回りがおおむね3.5%以上の5社です。大型株や準大型株を中心にし、少額の記念配当だけで利回りが跳ねた銘柄は比較対象から外しました。
| 比較条件 | この記事での扱い | 注意点 |
|---|---|---|
| 配当基準日 | 2026年9月30日に中間配当基準日 | 配当実施は取締役会決議などを経て確定 |
| 増配 | 2027年3月期会社予想が前期実績より多い | 会社予想であり確約ではない |
| 利回り | 8月28日終値と年間配当予想で計算 | 買値が変われば利回りも変わる |
| 割安指標 | 予想PERと実績PBRを参照 | 会計基準や業種が異なるため単純比較に限界 |
| 下落率 | 年初来高値から8月28日終値まで | 下落は割安さではなく悪材料を示す場合もある |
予想配当利回りは「1株当たり年間配当予想 ÷ 株価 × 100」で計算しました。100株の必要額は「株価 × 100」です。どちらも手数料を含まない概算で、税引前です。課税口座で受け取る上場株式の配当には通常20.315%の税金がかかるため、手取りは表面利回りより低くなります。
株価と配当を横並び比較
| 銘柄 | 8月28日終値 | 前期配当 | 今期予想 | 100株年間配当 | 予想利回り |
|---|---|---|---|---|---|
| 東急不動産HD | 1,330.5円 | 48円 | 50円 | 5,000円 | 3.76% |
| デンソー | 1,915.5円 | 67円 | 74円 | 7,400円 | 3.86% |
| いすゞ自動車 | 2,227.5円 | 92円 | 94円 | 9,400円 | 4.22% |
| 東鉄工業 | 4,000円 | 150円 | 152円 | 1万5,200円 | 3.80% |
| 熊谷組 | 1,297円 | 47円 | 50円 | 5,000円 | 3.86% |
表面利回りが最も高いのはいすゞ自動車の4.22%です。一方、増配率が最も高いのはデンソーで、67円から74円への10.4%増です。東鉄工業は利回り3.80%で100株投資額が40万円と最も大きいものの、年間配当額も1万5,200円で最大です。投資額が違うため、受取額の大きさだけで優劣を決めることはできません。
| 銘柄 | 増配額 | 増配率 | 中間配当予想 | 増配の見方 |
|---|---|---|---|---|
| 東急不動産HD | 2円 | 4.2% | 25円 | 利益成長と累進配当方針に沿う |
| デンソー | 7円 | 10.4% | 37円想定 | DOEを重視した長期安定還元 |
| いすゞ自動車 | 2円 | 2.2% | 47円想定 | 配当性向を意識した利益連動型 |
| 東鉄工業 | 2円 | 1.3% | 76円 | DOE3%以上と累進配当に沿う |
| 熊谷組 | 3円 | 6.4% | 25円 | 配当性向40%目途に基づく |
増配率は過去の配当水準にも左右されます。デンソーの10%超の増配予想は魅力的ですが、直近第1四半期は営業減益でした。反対に、いすゞ自動車の増配率は小さいものの、第1四半期は増収増益です。増配率と足元の利益方向が一致しないケースを見落とさないことが大切です。
安値圏に見える理由を確認する
5社は年初来高値から16%以上下落しています。特に東鉄工業と熊谷組は3割を超える下落です。しかし、「高値から大きく下がった」と「企業価値に対して割安」は同じ意味ではありません。高値側に過熱があった可能性も、将来利益への懸念が株価へ織り込まれた可能性もあります。
| 銘柄 | 年初来高値 | 8月28日終値 | 高値からの下落率 | 主な確認材料 |
|---|---|---|---|---|
| 東急不動産HD | 1,598円 | 1,330.5円 | 16.74%下落 | 国内金利、資産売却市況、開発投資 |
| デンソー | 2,310円 | 1,915.5円 | 17.08%下落 | 自動車生産、材料費、研究開発投資 |
| いすゞ自動車 | 2,929円 | 2,227.5円 | 23.95%下落 | 海外需要、為替、中東情勢、物流費 |
| 東鉄工業 | 5,840円 | 4,000円 | 31.51%下落 | 工事採算、人件費、資材価格、受注時期 |
| 熊谷組 | 2,043円 | 1,297円 | 36.51%下落 | 建築採算、工事進捗、原材料費、労務費 |
株価データは、東急不動産HD、デンソー、いすゞ自動車、東鉄工業、熊谷組の時系列を同じ日付で確認しています。現在の株価で再計算するときは、配当予想を最新IRで確認したうえで、年間配当予想を自分の取得単価で割ってください。
PERとPBRだけで割安と決めない
2026年8月28日時点の5社は、予想PERが約9.5倍から13.3倍、PBRが約0.9倍から1.2倍です。参考としてPERとPBRの積も計算しました。古典的なバリュー投資ではPERとPBRの両面を見る考え方がありますが、積が一定以下だから買いという機械的な基準ではありません。
| 銘柄 | 予想PER | 実績PBR | PER×PBR | 読み方 |
|---|---|---|---|---|
| 東急不動産HD | 9.49倍 | 1.04倍 | 9.87 | 資産価値と金利感応度を併せて確認 |
| デンソー | 13.34倍 | 0.94倍 | 12.54 | 研究開発負担と長期成長性を確認 |
| いすゞ自動車 | 9.57倍 | 1.02倍 | 9.76 | 景気・為替・販売地域の循環性を確認 |
| 東鉄工業 | 10.60倍 | 1.05倍 | 11.13 | 受注残と工事利益率の変化を確認 |
| 熊谷組 | 10.80倍 | 1.20倍 | 12.96 | 完成工事総利益率と損失工事を確認 |
不動産会社は保有資産と有利子負債、自動車関連会社は景気循環と為替、建設会社は受注残と工事採算の影響が大きくなります。会計基準もデンソーといすゞはIFRS、ほか3社は日本基準です。指標を横並びにする際は、利益の質や資本構成が違うことを前提にしてください。
還元方針で見る減配への耐性

高配当株を長く持つなら、今期の配当額よりも「会社が何を基準に配当を決めるか」が重要です。累進配当は原則として前期配当を下回らない考え方、DOEは株主資本に対する配当額の比率、配当性向は利益に対する配当額の比率です。
| 銘柄 | 公式方針 | 安定性を支える点 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 東急不動産HD | 2028年3月期まで配当性向35%以上、累進配当 | 減配しない方向を明文化 | 方針期間後の更新と財務負担を確認 |
| デンソー | DOE3.0%から継続的上昇、長期安定配当 | 単年度利益の変動を受けにくい | DOE目標は配当額の絶対保証ではない |
| いすゞ自動車 | 平均配当性向40%を意識 | 利益成長時は増配余地が生じる | 利益減少時は配当も影響を受けやすい |
| 東鉄工業 | DOE3%以上、累進配当 | 二つの下支えを公式に明記 | 巨額損失や方針変更の可能性は残る |
| 熊谷組 | 配当性向40%目途、安定的な配当 | 還元目安が明確 | 累進配当やDOEの数値下限は明記されていない |
東急不動産HDの株主還元方針は、2028年3月期まで配当性向35%以上と累進配当の継続を掲げています。東鉄工業の株主還元方針は、DOE3%以上と累進配当をセットにしています。配当の形式的な下支えが最も明瞭なのは、この2社です。
デンソーの株主還元方針は、単年度業績の影響を受けにくいDOEを採用し、DOE3.0%からの継続的上昇と長期安定配当を示しています。累進配当という言葉ではありませんが、資本に連動するため利益が一時的に落ちた年の配当変動を和らげる考え方です。
いすゞ自動車と熊谷組は利益との連動性が比較的高い設計です。いすゞは中長期計画で平均配当性向40%を意識し、熊谷組は企業価値向上の取組みで配当性向40%目途を掲げています。業績が伸びれば増配余地がありますが、利益悪化が長引くと配当維持の負担も大きくなります。
直近決算で増配の持続性を点検
| 銘柄 | 2027年3月期1Qの売上 | 営業利益 | 前年同期比 | 配当予想 |
|---|---|---|---|---|
| 東急不動産HD | 2,858億円 | 466億円 | 売上0.8%減、営業利益12.7%増 | 50円を維持 |
| デンソー | 1兆9,139億円 | 842億円 | 売上9.1%増、営業利益21.5%減 | 74円を維持 |
| いすゞ自動車 | 8,325億円 | 748億円 | 売上7%増、営業利益31%増 | 94円を維持 |
| 東鉄工業 | 296億円 | 21億円 | 売上1.4%増、営業利益9.1%減 | 152円を維持 |
| 熊谷組 | 1,000億円 | 29億円 | 売上5.1%減、営業利益42.2%増 | 50円を維持 |
直近第1四半期が最も素直に強いのはいすゞ自動車です。同社の第1四半期資料では、売上収益8,325億円、営業利益748億円、親会社の所有者に帰属する利益509億円といずれも前年同期を上回りました。価格対応、原価低減、為替が増益に寄与した一方、中東情勢による通期影響を営業利益400億円のマイナスとして織り込んでいます。1Qだけを年換算するのは危険です。
東急不動産HDは減収ながら営業増益でした。会社は2027年3月期業績予想で営業収益1兆4,000億円、営業利益1,900億円、親会社株主に帰属する当期純利益1,000億円を計画しています。投資家向け売却、仲介、分譲マンションを成長要因にする一方、国内金利上昇とインフレを不透明要因に挙げています。
デンソーは売上が増えた一方、部品・材料費の上昇と将来成長投資で営業減益でした。2027年3月期第1四半期発表では、通期売上予想を7兆7,500億円へ上方修正しながら、営業利益予想5,000億円は据え置いています。増収だけで判断せず、利益率が回復するかを確認したい局面です。
東鉄工業は売上高が増えたものの、販売費及び一般管理費の増加などで営業利益が減少しました。第1四半期決算短信では、売上高296億円、営業利益21億円、経常利益25億円です。通期の売上高1,670億円、営業利益180億円、年間配当152円の予想は変更していません。鉄道工事は安全と品質を優先しながら夜間施工や人員確保が必要で、人件費と工事採算の確認が欠かせません。
熊谷組は完成工事高が減少した一方、完成工事総利益率の改善で営業利益が42.2%増えました。第1四半期決算短信では、通期完成工事高5,000億円、営業利益309億円、年間配当50円の予想を据え置いています。売上減でも採算改善が進んだ点は前向きですが、建設案件の進捗は四半期ごとの振れが大きいため、上期累計と受注残を確認する必要があります。
銘柄別に見る強みとリスク

東急不動産ホールディングス
東急不動産HDは、オフィス、商業施設、住宅、再生可能エネルギー、管理運営、不動産流通を持つ複合型です。単一の不動産分野に依存しない点が強みで、2027年3月期は年間50円を予想しています。100株なら税引前5,000円、8月28日終値基準の利回りは3.76%です。
注意点は金利です。有利子負債を活用する不動産事業では、調達金利上昇が支払利息や投資採算へ影響します。また、物件売却益は案件の引渡し時期で四半期変動が大きくなります。累進配当方針があっても、財務負担と資産売却の進捗を見ずに配当だけを評価するのは危険です。
デンソー
デンソーは世界的な自動車部品メーカーで、電動化、熱マネジメント、車載電子などに広く関わります。2026年3月期67円から2027年3月期74円へ7円増配する予想で、5社の中では増配率が最も高くなりました。通期決算発表でも74円予想とDOEの長期的な向上方針を確認できます。
一方、世界の自動車生産、顧客構成、為替、材料価格、研究開発費に左右されます。電動化とソフトウェアへの投資は将来成長に必要ですが、短期利益を圧迫します。PBRが1倍を下回ることだけを根拠に割安と判断せず、営業利益率と投下資本利益率が改善するかを追うべきです。
いすゞ自動車
いすゞ自動車は商用車を中心とし、国内だけでなくアジア、北米など海外展開が大きい会社です。予想配当利回り4.22%は5社で最も高く、100株の年間配当予想は9,400円です。第1四半期は価格対応と原価低減が進み、営業利益率も改善しました。
ただし、商用車需要は物流投資と景気に左右され、為替と地域紛争の影響も受けます。同社は中東情勢による調達、物流、販売への影響を通期計画へ織り込んでいます。配当性向型の還元は利益成長の恩恵を受けやすい反面、景気後退や大幅減益時には配当余力が縮みます。株式手続き案内で中間配当基準日が9月30日であることも確認できます。
東鉄工業
東鉄工業は鉄道関連工事に強みを持ち、JR東日本が大株主です。鉄道の安全維持、耐震化、老朽設備更新は継続需要が見込まれる一方、施工時間、人員、資材に制約があります。株式情報では1単元100株、配当基準日9月30日と3月31日が明記されています。
DOE3%以上と累進配当は長期保有者に分かりやすい方針です。ただし、100株の必要額は40万円で5社最大です。1銘柄の組入比率が高くなりやすい人は、利回りだけでなくポートフォリオ全体の業種配分を確認してください。第1四半期の営業減益が一時的な費用増か、工事採算の悪化かも次の決算で見極めたい点です。
熊谷組
熊谷組は土木、建築、海外、建設周辺事業を展開します。2025年10月の1対4株式分割後ベースで、2026年3月期年間配当は47円、2027年3月期は50円予想です。100株必要額は12万9,700円で5社最少、予想利回りは3.86%です。配当の比較では分割前後の金額をそのまま並べないよう注意してください。
2026年3月期決算説明資料では、2027年3月期の配当性向を41.6%と見込んでいます。第1四半期は採算改善が見られましたが、会社自身も資材費、労務費、価格転嫁、損失工事を投資家との対話テーマに挙げています。年初来高値からの下落率が最大だから反発余地も最大、と考えることはできません。
10%減配された場合の利回りも見る
配当予想をそのまま受け取れる前提だけでは、リスクを過小評価します。そこで、機械的なストレステストとして年間配当が会社予想より10%少なかった場合を計算しました。これは減配を予測するものではなく、買値に対する余裕を確かめる試算です。
| 銘柄 | 会社予想利回り | 10%減配時の配当 | 10%減配時の利回り | 利回り低下幅 |
|---|---|---|---|---|
| 東急不動産HD | 3.76% | 45.0円 | 3.38% | 0.38ポイント |
| デンソー | 3.86% | 66.6円 | 3.48% | 0.38ポイント |
| いすゞ自動車 | 4.22% | 84.6円 | 3.80% | 0.42ポイント |
| 東鉄工業 | 3.80% | 136.8円 | 3.42% | 0.38ポイント |
| 熊谷組 | 3.86% | 45.0円 | 3.47% | 0.39ポイント |
10%減配でも税引前利回りは3.38%から3.80%ですが、株価が同時に下落すれば配当で損失を補えない可能性があります。たとえば13万円の投資で株価が10%下がると含み損は約1万3,000円です。年間配当5,000円の数年分に相当します。高配当は価格変動リスクを消すものではありません。
目的別の比較

どの会社が最適かは、配当方針の安定性、現在利回り、必要資金、業種分散のどれを重視するかで変わります。以下は売買推奨ではなく、追加調査の起点です。
| 重視する観点 | 先に確認したい会社 | 理由 | 必ず確認する弱点 |
|---|---|---|---|
| 累進配当の明確さ | 東急不動産HD、東鉄工業 | 公式方針に累進配当を明記 | 方針期間、財務負担、例外条件 |
| DOEによる安定性 | デンソー、東鉄工業 | 単年度利益だけに依存しにくい | 自己資本の変化、DOE目標の更新 |
| 現在利回り | いすゞ自動車 | 8月28日時点で4.22% | 海外需要、為替、中東情勢 |
| 100株必要額 | 熊谷組、東急不動産HD | 約13万円から投資可能 | 建設採算、金利、配当性向 |
| 直近営業増益 | いすゞ、東急不動産HD、熊谷組 | 第1四半期営業利益が前年同期比増 | 一過性要因と通期進捗 |
同じ建設関連でも、東鉄工業は鉄道工事への強み、熊谷組は総合建設会社としての土木・建築構成という違いがあります。東急不動産HDも不動産市況と金利の影響を受けるため、3社を同時に持つと建設・不動産への偏りが生じます。デンソーといすゞを組み合わせても、自動車生産や為替という共通リスクがあります。銘柄数だけでなく、利益を動かす要因を分散してください。
表面利回りと実際の受取額を分けて考える
表に示した配当利回りは、会社予想の年間配当を株価で割った税引前の数字です。課税口座では、国内上場株式の配当に所得税と復興特別所得税、住民税を合わせて通常20.315%が源泉徴収されます。ここでは単純化のため、年間予想配当の79.685%を手取り概算として計算しました。実際には保有期間、配当の権利取得状況、損益通算、確定申告の有無などで税務上の扱いが変わる場合があります。
| 銘柄 | 100株の税引前配当 | 課税口座の手取り概算 | 手取り利回り概算 | 差し引かれる税額概算 |
|---|---|---|---|---|
| 東急不動産HD | 5,000円 | 3,984円 | 3.00% | 1,016円 |
| デンソー | 7,400円 | 5,897円 | 3.08% | 1,503円 |
| いすゞ自動車 | 9,400円 | 7,490円 | 3.36% | 1,910円 |
| 東鉄工業 | 1万5,200円 | 1万2,112円 | 3.03% | 3,088円 |
| 熊谷組 | 5,000円 | 3,984円 | 3.07% | 1,016円 |
NISA口座なら配当が常に自動で非課税になる、と決め付けるのも危険です。国内株式の配当をNISAで非課税にするには、一般に証券会社を通じて受け取る株式数比例配分方式を選ぶ必要があります。ほかの受取方式では課税される場合があるため、購入前に証券会社の登録状況を確認してください。NISAの年間投資枠や生涯の非課税保有限度額も、利回りだけで一社へ集中させる理由にはなりません。
また、9月末に得られるのは年間配当の全額ではなく、中間配当分です。会社予想どおりなら、100株の中間配当は東急不動産HDと熊谷組が各2,500円、デンソーが3,700円、いすゞ自動車が4,700円、東鉄工業が7,600円です。残りは期末配当の基準日を満たし、会社が実施を決定した場合に受け取ります。年間利回りを9月の一回で受け取れるように解釈しないことが大切です。
配当を支える利益と現金の確認手順
増配予想が持続するかを見るときは、配当性向だけでなく、営業利益、最終利益、営業キャッシュフロー、設備投資、有利子負債の順に確認すると整理しやすくなります。配当性向が低くても、利益の多くが売掛金や在庫に滞留し、自由に使える現金が増えていなければ、配当余力が十分とは限りません。反対に、四半期の利益が一時的に落ちても、財務が強く累進配当やDOEを採用していれば、会社が配当を平準化する余地があります。
| 確認段階 | 見る資料 | 良い変化の例 | 警戒したい変化 |
|---|---|---|---|
| 売上と営業利益 | 四半期決算短信 | 増収に加えて利益率も改善 | 売上増でも営業減益が続く |
| 最終利益 | 損益計算書 | 本業利益と同方向に増加 | 一過性売却益だけで増益 |
| 営業キャッシュフロー | 半期・通期決算 | 利益に伴って現金流入も増加 | 利益計上後も現金流出が継続 |
| 投資負担 | 決算説明資料 | 成長投資後も還元余力を確保 | 借入増で配当と投資を両立 |
| 財務安全性 | 貸借対照表 | 自己資本と手元流動性が安定 | 有利子負債と金利負担が急増 |
| 会社方針 | 中期計画・還元方針 | 目標、期間、計算基準が明確 | 抽象的な安定配当だけに後退 |
5社へ当てはめると、東急不動産HDは金利負担と資産売却による現金回収、デンソーは研究開発・設備投資後のキャッシュ創出、いすゞ自動車は海外運転資金と為替影響、東鉄工業と熊谷組は工事代金の回収時期と受注採算が重点になります。建設業は工事の進捗や引渡しで資金が動きやすく、自動車関連は在庫やサプライチェーンの変化が運転資金へ響きます。同じ物差しを使いながら、業種固有の現金の動きまで見る必要があります。
権利日前に三つの価格シナリオを作る
買うか迷う場合は、現在値だけで結論を出さず、株価が上がる場合、変わらない場合、下がる場合の三つを用意すると判断が安定します。たとえば年間50円配当の銘柄は、株価1,250円なら利回り4.00%、1,300円なら3.85%、1,400円なら3.57%です。目標とする利回りから買値上限を逆算すれば、権利日前の上昇を感情で追いにくくなります。
| シナリオ | 起こり得る状況 | 確認する数字 | 対応例 |
|---|---|---|---|
| 株価が上昇 | 配当取りの買い、相場全体の上昇 | 買値基準の利回り、PER、投資額上限 | 上限を超えたら見送る |
| 株価が横ばい | 材料待ち、需給が均衡 | 最新の業績・配当修正 | 一括購入せず時期を分ける |
| 株価が下落 | 業績懸念、相場悪化、権利落ち | 下落理由と会社前提の変化 | 安さだけで買い増さない |
| 配当予想を修正 | 業績予想や還元方針の変更 | 修正後配当と新しい利回り | 当初計算を捨てて再評価 |
分割購入をする場合も、単に同額を機械的に買うのではなく、各社の決算日と重要指標を対応させます。最初の購入後、次の決算で営業利益率や通期予想を確認し、前提が維持されていれば追加を検討する方法があります。逆に、減配や業績下方修正が出たときに平均取得単価を下げる目的だけで買い増すと、悪化企業への集中が進むため注意が必要です。焦らず再計算しましょう。
買う前に確認したいチェックリスト
| 確認項目 | 合格の目安ではなく確認する内容 | 確認先 |
|---|---|---|
| 配当予想 | 最新決算で据え置きか、修正がないか | 決算短信、配当修正の適時開示 |
| 還元方針 | 累進配当、DOE、配当性向のどれか | 株主還元ページ、中期経営計画 |
| 利益 | 営業利益と最終利益の方向が一致するか | 四半期決算 |
| キャッシュ | 営業キャッシュフローで配当を賄えるか | 半期、通期のキャッシュフロー計算書 |
| 財務 | 有利子負債、自己資本比率、金利負担 | 貸借対照表、決算説明資料 |
| 集中リスク | 業種、顧客、地域、為替の偏り | セグメント情報 |
| 取得価格 | 自分の買値で利回りを再計算 | 証券会社の注文画面 |
| 権利日 | 証券会社が示す権利付最終日 | 取引画面、発行会社の株式情報 |
最も避けたいのは、権利日前の株価上昇を追い、配当を得た後の値下がりで大きな損失を抱えることです。購入時期を分ける、指値を使う、1銘柄への投資額上限を決める、決算発表後まで待つといった選択肢があります。権利を取らない判断も立派なリスク管理です。
5社の比較で分かったこと
| 比較結果 | 数値または事実 | 投資判断への意味 |
|---|---|---|
| 利回り範囲 | 3.76%から4.22% | 差は最大0.46ポイントで、方針差も重要 |
| 増配予想 | 5社すべて前期実績を上回る | 確定ではなく次回決算で更新確認が必要 |
| 還元の下支え | 累進2社、DOE重視2社 | 利益連動だけの銘柄より安定性を説明しやすい |
| 直近業績 | 営業増益3社、営業減益2社 | 増配予想と足元利益は必ずしも同方向ではない |
| 高値からの下落 | 16.74%から36.51% | 下落幅は反発保証ではなくリスクの手掛かり |
| 必要資金 | 12万9,700円から40万円 | 資金配分と業種分散に差が出る |
利回りだけならいすゞ自動車、還元方針の明確さなら東急不動産HDと東鉄工業、DOE重視ならデンソーと東鉄工業、必要資金なら熊谷組と東急不動産HDが調査の起点になります。しかし、どの会社にも固有のリスクがあり、すべての人に共通する最良銘柄はありません。
よくある質問

2026年9月の権利付最終日はいつですか
5社の中間配当基準日が9月30日で、日本株がT+2決済であることから、2026年9月28日が権利付最終日、9月29日が権利落ち日となります。最終的には利用する証券会社の取引画面でも確認してください。
9月28日の大引けまでに買えば配当をもらえますか
通常は9月28日中に買付約定すれば基準日に株主として記録されます。ただし注文を出しただけで約定していない場合は権利を得られません。PTSなど市場や取引時間が異なる注文は、証券会社へ確認してください。
9月29日に売っても中間配当は受け取れますか
権利付最終日までに保有していれば、権利落ち日の9月29日に売却しても通常は権利があります。ただし株価が配当額以上に下がる可能性があり、短期の配当取りで利益が出るとは限りません。
表の配当利回りは税引後ですか
税引前です。課税口座では通常20.315%が源泉徴収されます。NISAで国内上場株式の配当を非課税で受け取るには、受取方式など制度上の条件もあるため証券会社で確認してください。
配当利回りが最も高いいすゞ自動車が一番有利ですか
一概にはいえません。いすゞ自動車は4.22%で5社最高ですが、海外需要、為替、資材・物流費、地域情勢の影響を受けます。現在利回りと、利益が悪化した場合の配当耐性は別の論点です。
累進配当なら減配しないのですか
累進配当は原則として前期配当を下回らない方針ですが、法的保証ではありません。巨額損失、財務制約、経営方針の変更などで見直される可能性があります。方針の対象期間も確認してください。
DOEは配当性向より安全ですか
DOEは株主資本を基準にするため、単年度利益の急変を受けにくい特徴があります。ただし、自己資本が減る場合やDOE目標が変更される場合、配当が維持されるとは限りません。安全を保証する指標ではありません。
年初来高値から大きく下がった熊谷組は割安ですか
下落率36.51%だけでは判断できません。高値が割高だった可能性、建設採算への懸念、需給要因もあります。PER、PBR、利益率、受注残、価格転嫁、損失工事を合わせて見る必要があります。
100株未満でも中間配当を受け取れますか
単元未満株でも、基準日に株主名簿へ記録され、配当条件を満たせば保有株数に応じた配当を受け取れるのが一般的です。ただし証券会社の単元未満株サービスでは注文方法や約定タイミングが異なります。
5社をすべて買えば分散になりますか
銘柄数は増えますが、十分な分散とは限りません。東鉄工業と熊谷組は建設、東急不動産HDも金利や建設費の影響を受けます。デンソーといすゞは自動車生産や為替という共通要因があります。業種と収益要因の両方で分散してください。
権利日前に株価が上がったらどうすべきですか
予定した利回りを下回るまで上がったなら、見送る選択肢があります。取得価格が上がるほど配当利回りは下がり、権利落ち後の値下がり余地も大きくなります。配当を得ること自体を目的化しないことが重要です。
次に確認すべき情報は何ですか
9月末までの配当予想修正、業績予想修正、自己株式取得、重要な受注や損失、為替前提の変更です。さらに10月から11月の第2四半期決算で、上期利益と中間配当の決議を確認してください。
この記事の数値はいつまで有効ですか
株価指標は2026年8月28日終値、企業情報は2026年8月31日確認時点です。株価は毎営業日、配当予想は適時開示で変わります。実際の判断時には最新の会社IRと証券会社画面で再確認してください。
この記事だけで売買を決めてもよいですか
本記事は比較のための情報整理で、特定銘柄の推奨ではありません。投資経験、資産状況、損失許容度、保有期間は人によって異なります。最終判断では最新資料の人間による確認を行い、必要に応じて専門家へ相談してください。
まとめ

2026年9月権利の比較対象5社は、すべて前期より多い年間配当を予想し、8月28日終値基準の予想配当利回りは3%台後半から4%台前半です。数字だけを見れば魅力がありますが、還元方針と直近決算には明確な差があります。
| 最終確認 | この記事の結論 |
|---|---|
| 権利日 | 権利付最終日は2026年9月28日、権利落ち日は9月29日 |
| 利回り | 4.22%のいすゞが最高だが、差だけで選ばない |
| 方針 | 累進配当、DOE、配当性向の違いを理解する |
| 業績 | 増配予想でも第1四半期営業減益の会社がある |
| 株価 | 高値からの下落は反発や割安さを保証しない |
| 行動 | 取得価格で再計算し、集中投資を避け、最新IRを確認する |
配当目的の長期投資では、今期の利回りを0.1ポイント高くすることより、利益悪化時にも配当を支えられる財務と方針を選ぶことが重要です。権利日が近いことを理由に急がず、買値、配当余力、業種分散を一つずつ確認してください。
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