夫(妻)の扶養に入ったまま、パートに加えて副業も始めたい。そんなときに迷うのが「いくらまでなら扶養内か」です。2026年分のルールで、働く側(扶養に入っている配偶者)の目線から整理します。先に結論です。
- 税金の扶養(夫の配偶者控除)は「所得」で判定。パートの給与所得と副業の所得(売上−経費)を足して62万円以下なら配偶者控除、133万円以下なら配偶者特別控除
- 社会保険の扶養は「収入」で判定。見込み年収130万円未満が基準で、副業の売上をどう数えるかは加入している健康保険で違う
- 副業の所得が20万円以下で確定申告がいらなくても、住民税の申告は必要で、夫の配偶者控除の計算にも入る
この記事は国税庁のタックスアンサーと「令和8年4月源泉所得税の改正のあらまし」、日本年金機構と厚生労働省の案内を2026年9月29日時点で確認して書いています。
夫(妻)の側で受けられる控除額の表は配偶者控除と配偶者特別控除の違い、年末調整全体の変更点は2026年分の年末調整の変更点にまとめています。

扶養内で働く人に関係する「壁」の一覧(2026年)
「年収の壁」はいくつもあり、判定の基準がそれぞれ違います。副業をする人は、特に税金は所得、社会保険は収入という違いに注意してください。
| 壁 | 超えると何が起きるか | 判定の基準 | 2026年の目安 |
|---|---|---|---|
| 夫の配偶者控除 | 配偶者控除から配偶者特別控除に変わる(本人900万円以下なら38万円のまま) | あなたの合計所得62万円 | 給与だけなら年収136万円 |
| 夫の配偶者特別控除 | 控除が段階的に減り、なくなる | あなたの合計所得133万円 | 給与だけなら年収207万円 |
| あなたの所得税 | あなた自身に所得税がかかる | 合計所得から基礎控除104万円などを引いて残るか | 給与だけなら年収178万円 |
| あなたの住民税 | あなた自身に住民税がかかる | 市区町村の基準 | 所得税より低い年収からかかる |
| 社会保険の扶養 | 夫の健康保険・年金の扶養から外れ、自分で加入 | 見込み年収130万円未満(60歳以上は180万円未満) | 月108,333円以下が目安 |
| 勤務先の社会保険 | パート先の厚生年金・健康保険に加入 | 週20時間以上、従業員51人以上の会社など | 月額賃金8.8万円の要件は撤廃に向けて見直し中 |
| 夫の会社の配偶者手当 | 手当が止まることがある | 夫の会社の規定 | 就業規則で確認 |
社会保険の130万円は日本年金機構の案内、106万円は厚生労働省の「年収の壁」への対応で確認した基準です。
税金の扶養は「所得」で数える
夫の配偶者控除・配偶者特別控除は、あなたの合計所得金額で決まります。パートの給与と副業の収入は、それぞれ次のように「所得」に直してから足します。
| 収入の種類 | 所得の計算 | 例 |
|---|---|---|
| パート・アルバイトの給与 | 給与収入−給与所得控除(2026年分は最低74万円) | 年収100万円なら給与所得26万円 |
| 副業(雑所得) | 売上−必要経費 | 売上50万円、経費14万円なら36万円 |
| 副業(事業所得・青色申告) | 売上−必要経費−青色申告特別控除 | 控除額は帳簿の付け方で変わる |
パート100万円と、所得36万円の副業なら、合計所得は62万円です。夫は配偶者控除38万円(夫の合計所得900万円以下の場合)を受けられます。
パートと副業の組み合わせ別、夫の控除はどうなる?
夫の合計所得が900万円以下の場合です。
| パートの年収 | パートの給与所得 | 副業の所得 | 合計所得 | 夫の控除 |
|---|---|---|---|---|
| 100万円 | 26万円 | 36万円 | 62万円 | 配偶者控除38万円 |
| 120万円 | 46万円 | 30万円 | 76万円 | 配偶者特別控除38万円 |
| 130万円 | 56万円 | 50万円 | 106万円 | 配偶者特別控除26万円 |
| 0円 | 0円 | 80万円 | 80万円 | 配偶者特別控除38万円 |
| 150万円 | 76万円 | 60万円 | 136万円 | 控除なし(133万円超) |
合計所得が95万円までは、配偶者特別控除でも38万円なので、夫の税金は配偶者控除のときと変わりません。減り始めるのは合計所得95万円を超えてからです。

副業の所得が20万円以下でも申告が必要なもの
国税庁のNo.1900 給与所得者で確定申告が必要な人では、給与を1か所から受けて年末調整を受けている人は、給与以外の所得が20万円以下なら所得税の確定申告は不要とされています。ただし、次の点は別です。
- 住民税の申告は、所得が20万円以下でも市区町村に必要
- 所得税の確定申告が不要でも、副業の所得は合計所得に入り、夫の配偶者控除の判定に使われる
- 副業の所得が20万円を超えたら所得税の確定申告が必要
副業の所得をまとめて把握するには、売上と経費を月ごとに記録しておくのが一番の近道です。副業の申告ルールは副業収入の課税ルールの記事、開業届を出すかどうかは開業届の落とし穴で解説しています。
社会保険の扶養は「収入」で数える
健康保険と年金の扶養(第3号被保険者)は、税金とは別の基準です。日本年金機構の案内では、被扶養者の収入要件は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 年間収入の基準 | 130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満) |
| 同居の場合 | あなたの収入が夫の収入の半分未満 |
| 年間収入の見方 | 過去ではなく、これから1年間の見込み。給与なら月108,333円以下が目安 |
| 2026年4月から | 給与収入だけの人は、労働条件通知書などの労働契約の内容で見込み年収を判定できる |
| 一時的な増収 | 人手不足で一時的に130万円以上になった場合、事業主の証明で原則連続2回まで扶養を続けられる |
税金は「所得(経費を引いた後)」ですが、社会保険は「収入」が基準です。副業の売上から経費を引けるかどうか、どの時点の収入で見るかは、加入している健康保険(協会けんぽか健康保険組合か)で扱いが違います。副業を始める前に、夫の勤務先を通じて健康保険に確認してください。
また、2026年4月からの「労働契約の内容で判定する」扱いは、収入が給与だけで、ほかの収入が見込まれない人が対象です。副業の収入がある人は、従来どおり見込みの年間収入で判断されます。
パート先の社会保険(106万円の壁)
パート先で次の条件を満たすと、夫の扶養ではなく、パート先の厚生年金・健康保険に入ります。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 所定内賃金が月額8.8万円以上(年収約106万円)
- 従業員51人以上の会社(厚生年金の被保険者数で判断)
- 学生ではない
2025年の年金制度改正法で、月額8.8万円の賃金要件は2025年6月から3年以内に撤廃され、会社の規模の要件も段階的に縮小・撤廃されることになりました。今後は「週20時間以上働くかどうか」が主な分かれ目になっていきます。

扶養内で副業を始める前のチェックリスト
- パートの年収の見込み(月の給与×12か月+賞与)を計算する
- 副業の売上と経費を見込み、副業の所得を出す
- パートの給与所得と副業の所得を足して、62万円以下か、133万円以下かを確認する
- 社会保険の扶養の基準(130万円未満)に、副業の売上がどう数えられるか夫の健康保険に確認する
- パート先で週20時間以上働くなら、パート先の社会保険の加入条件を確認する
- 夫の会社の配偶者手当の条件を確認する
- 副業の売上と経費の記録を毎月つけ、住民税の申告と、必要なら確定申告をする
扶養を外れたほうがいい場合もある
扶養の範囲に収めることだけが正解ではありません。年収が大きく増えるなら、社会保険に自分で加入し、将来の厚生年金を増やしたほうが得になることもあります。夫の配偶者特別控除は段階的に減る仕組みなので、税金だけ見れば「少し超えたら一気に損」にはなりません。
手取りが一時的に減りやすいのは、社会保険の扶養から外れて国民年金・国民健康保険に自分で入る場合です。パート先の社会保険に入れるなら、保険料は会社と折半になり、厚生年金も増えます。働く時間を増やすなら、パート先で加入できるかも確認しましょう。
よくある質問
パート年収100万円で、副業の所得が30万円です。夫の配偶者控除は受けられますか
受けられます。パートの給与所得は26万円(100万円−74万円)、副業の所得30万円と合わせて合計所得56万円で、62万円以下なので配偶者控除の対象です。
副業の所得が20万円以下なら、何もしなくていいですか
所得税の確定申告は不要な場合がありますが、住民税の申告は必要です。また、副業の所得は合計所得に入るため、夫の配偶者控除の判定に使われます。夫の勤務先に出す申告書にも、あなたの見込み所得として含めます。
社会保険の130万円に、副業の売上は入りますか
入ります。ただし売上から経費を引いて数えるかどうかは、加入している健康保険で扱いが違います。副業を始める前に、夫の勤務先を通じて確認するのが確実です。
2026年から、扶養内で働ける年収は上がりましたか
税金の扶養(配偶者控除)は、給与だけなら123万円から136万円に上がりました。社会保険の扶養は130万円未満のままです(19〜22歳の子どもは150万円未満)。
月108,333円を1か月だけ超えたら扶養から外れますか
社会保険の扶養は、これから1年間の見込み収入で判断します。1か月だけ超えても、年間で130万円未満の見込みなら直ちに外れるとは限りません。人手不足で一時的に増えた場合は、事業主の証明で扶養を続けられる仕組みもあります。
私の所得税はいくらからかかりますか
2026年分は、給与だけなら年収178万円までかかりません。副業の所得がある場合は、合計所得から基礎控除104万円(合計所得489万円以下の場合)などを引いて残りがあれば所得税がかかります。

まとめ
- 税金の扶養は所得で判定。パートの給与所得と副業の所得を足して62万円以下なら配偶者控除、95万円以下なら夫の控除は38万円のまま
- 社会保険の扶養は収入で判定。130万円未満が基準で、副業の数え方は健康保険に確認する
- 副業の所得が20万円以下でも住民税の申告は必要
- パート先で週20時間以上働くなら、パート先の社会保険の加入条件も確認する
年収の壁178万円の全体像は年収の壁178万円の記事、子どものアルバイトの扶養は高校生・大学生の子どもの扶養控除で解説しています。




