
「パスキーを設定していれば、証券口座の不正利用は絶対に起こらないのか」。大切な資産を預ける口座では、認証方法の強さだけでなく、端末や登録情報、異変に気づくための通知も確認しておきたいところです。
パスキーはフィッシングへの耐性が高い認証方式ですが、口座を取り巻くすべてのリスクをなくすものではありません。一方、「パスキーを使っている人に被害があった」という情報だけで、パスキーの暗号技術自体が破られたと結論づけることもできません。
この記事では、楽天証券の公式案内を基に、2026年のパスキー対応、確認したいセキュリティ設定、身に覚えのない取引に気づいた場合の対応を整理します。
不審な取引がある場合は、設定の勉強より利用制限と連絡を優先

身に覚えのない注文・売却・出金がある場合は、通知内のリンクを押すのではなく、普段利用している公式アプリや保存済みの公式サイトから状況を確認してください。不正アクセスの疑いがあるときは、楽天証券の公式窓口で取引やサービスの一時的な利用停止について確認することが先です。
楽天証券は、不正アクセスの疑いやスマートフォン紛失などに対応する利用制限について、24時間自動受付の窓口を案内しています。制限の対象にはログインや取引、出金などがあり、自分自身の利用にも影響します。対象と解除方法は公式案内に沿って確認してください。出典・楽天証券「お客様サポート」
公式サイトへアクセスできない場合も、届いたメールの電話番号を信用せず、公式サポートページに掲載された窓口を確認します。電話番号や受付条件は変更される可能性があるため、この記事では公式ページへの導線を掲載しています。
2026年の楽天証券は、パスキー認証を段階的に必須化
楽天証券は2026年5月29日、6月から順次案内し、ログイン時のパスキー認証を段階的に必須化すると公表しました。全利用者に同じ日に切り替わるという説明ではないため、自分の口座に表示される案内を確認する必要があります。出典・楽天証券「ログイン時のパスキー認証を段階的に必須化します」
公式のiGrowヘルプでは、端末の指紋・顔認証やPINコード、パターンなどを利用して本人確認を行う方式と説明されています。「パスキー=指紋認証だけ」という意味ではありません。端末に応じて使える確認方法が異なります。出典・iGrowオンラインヘルプ「パスキーでログインする」
また、アプリの起動時に顔認証を使っていることと、証券口座のログインにパスキーを登録・使用していることは、同じだと決めつけないようにしましょう。アプリの表示と楽天証券側の登録状況を確認してください。
パスキーの強みと、別に対策が必要な範囲
パスキーは公開鍵暗号を利用し、正規のサービスに対応する認証情報でログインする仕組みです。パスワードの文字列を偽サイトに入力して盗まれるタイプのフィッシングに強い点が特徴です。出典・FIDO Alliance「Passkeys」
| 確認する対象 | パスキーとの関係 | 利用者が確認したいこと |
|---|---|---|
| 偽サイトへのパスワード入力 | パスキーが強みを発揮する領域 | 正規サービスのパスキー認証を利用しているか |
| ログイン後の状態の不正利用 | 認証とは別の保護も必要 | 端末やブラウザーに不審なソフトがないか |
| 端末・同期先アカウント | パスキーの保存先によって関わる | 端末ロックやアカウントの復旧設定を管理しているか |
| 口座に登録された認証情報 | 登録・変更の安全性も重要 | 登録済みパスキーに心当たりがあるか |
| 注文・出金の異変 | 認証だけでは早期発見まで完結しない | 通知と履歴を確認できる状態か |
FIDO Allianceは、パスキー認証に加えて、ログイン後のセッションを保護する技術の必要性も説明しています。端末のマルウェアなどによるセッション情報の窃取は、認証方式の評価とは分けて考える問題です。出典・FIDO Alliance「FIDO認証を補完する技術の解説」
これは一般的なリスクの整理であり、楽天証券の特定の被害でこの方法が使われたと認定するものではありません。原因を確定するには、実際のログイン経路、端末の状況、登録変更の履歴などを調べる必要があります。
楽天証券で確認したい6つの対策

1.公式のセキュリティ設定で登録済みパスキーを確認する
楽天証券の公式サポートでは、PCの画面上部「セキュリティ設定」、スマートフォンでは「マイメニュー」から「セキュリティ設定」へ進む案内があります。画面表示のために追加の認証が求められる場合もあります。
「認証方法」「登録済みパスキー」などの項目で、自分が作成したものか確認します。名称だけで不正と決めつけず、利用端末や作成した時期と照合してください。身に覚えのない登録がある場合は、通知や画面を保存し、公式サポートへ連絡しましょう。
一覧が不安だからといって、使えるパスキーをすべて削除すると、自分がログインできなくなるおそれがあります。復旧方法を確認したうえで、公式の手順に従って対応してください。出典・楽天証券「パスキーの追加・削除手順」
2.ログイン通知・注文通知と履歴を確認する
楽天証券は、セキュリティ対策としてログインに関する通知や注文通知などを案内しています。設定状況と受信先を確認し、登録メールが届くか、迷惑メールに振り分けられていないかも点検しましょう。出典・楽天証券「セキュリティ」
通知が来たら、メール内のリンクから操作を進めるのではなく、公式アプリなどで注文履歴・取引履歴を確認します。通知は異変を見つける手段であり、不正取引を必ず止める機能ではありません。
3.利用していない取引の制限を確認する
楽天証券は、総合口座や個別の取引について、一時的な利用停止を設定・解除できる仕組みを案内しています。普段使わない取引がある場合は、どの範囲を制限できるかを公式画面で確認するとよいでしょう。出典・楽天証券「口座利用の一時的利用停止に関する発表」
停止の対象や、保有商品・注文への影響はサービスによって異なります。画面の説明を確認せず一律に止めるのではなく、自分が必要とする取引と分けて設定します。
4.メールとパスキーの保存先アカウントも守る
同期型のパスキーは、パスキー提供者のアカウントを通じて複数の端末で利用できる場合があります。そのため、証券口座だけでなく、保存先アカウントの端末一覧、本人確認方法、復旧先の管理も重要です。出典・FIDO Alliance「同期型パスキーの導入に関する資料」
メールアカウントには利用可能な多要素認証を設定し、パスワードを他サービスと使い回さないようにします。登録電話番号やメールアドレスが古いままになっていないかも確認してください。
5.OS・ブラウザー・アプリを更新し、不審なソフトを避ける
楽天証券は、フィッシングだけでなくスパイウェア・マルウェアなどによる情報の窃取にも注意を呼びかけています。セキュリティ更新を適用し、提供元が不明なアプリや不要なブラウザー拡張機能を見直しましょう。出典・楽天証券のセキュリティ案内
証券会社の担当者を名乗る相手からでも、端末を遠隔操作させる依頼や、認証コードを伝える依頼にはその場で応じず、自分で公式窓口へ確認します。画面共有や遠隔操作は、本人確認とは別の権限を相手に渡す行為です。
6.ログイン経路を固定し、メールから設定変更しない
「至急確認」「不正アクセスを検知」といった文面は、不安を利用して偽サイトへ誘導する可能性があります。普段使う公式アプリやブックマークを入口にし、通知の内容を口座側で確認しましょう。出典・楽天証券「フィッシング詐欺」
検索結果の広告や、見た目が似たページだけで公式と判断しないことも大切です。鍵マークが表示されることだけでは、そのサイトの運営者が正当な証券会社である証明にはなりません。
口座全体の予防策は、証券口座の乗っ取り対策と確認したい設定でも整理しています。
身に覚えのない取引を見つけたときの対応手順

| 順番 | 行うこと | 確認する点 |
|---|---|---|
| 1 | 公式窓口で利用制限を確認・依頼 | ログイン、取引、出金など必要な対象 |
| 2 | 通知・履歴を保存 | 発見日時、取引銘柄、数量、注文番号、メールなど |
| 3 | 楽天証券へ被害の疑いを連絡 | 既に行った操作と身に覚えのない変更 |
| 4 | 端末・メール・認証情報を点検 | 感染が疑われる端末で安易に再設定しない |
| 5 | 復旧と取引の扱いを確認 | 利用制限の解除、調査、必要な届出や書類 |
証拠の保存に時間をかけて利用制限を遅らせないようにします。原因不明のまま何度もログインし直したり、相手の指示でソフトを追加したりせず、公式窓口の案内に従ってください。
身に覚えのない買付けがあっても、売り戻せば解決するとは限りません。価格変動や証拠確認に関わるため、対象注文・保有商品の扱いを証券会社に確認します。必要に応じて警察等への相談も行い、受付記録を残しましょう。
楽天証券は、不正取引被害について個別の事情を確認して対応する方針を公表しています。補償の有無や範囲を一律に約束することはできません。出典・楽天証券「不正取引発生を受けた取り組み」
ログインできない場合と、不正アクセスの疑いは分けて考える
パスキーでログインできない場合でも、それだけで乗っ取りが起きたとは限りません。利用端末、ブラウザー、保存先、機種変更などの状況を確認する必要があります。
楽天証券は、パスキーでのログインに困った場合の公式手順を案内しています。一時的な利用停止や再作成などは、あくまで必要な復旧手段です。防犯目的でパスキーを安易に解除するのではなく、状況に合った手順を確認してください。出典・楽天証券「ログインにお困りの方」
端末変更などで困っている場合は、証券口座のパスキーでログインできない場合の確認事項も参考にしてください。操作画面や対応環境は最新の公式案内を優先しましょう。
楽天証券のパスキーに関するよくある質問

パスキーがあれば不正取引は絶対に防げますか?
絶対とはいえません。フィッシングへの耐性は高い一方、端末、登録変更、ログイン後の状態、通知なども合わせて管理する必要があります。
不正利用の報告は、パスキーの暗号が破られた証拠ですか?
報告だけでは断定できません。パスキーの設定状況と実際のログイン経路、端末や登録情報の変更などを区別して調査する必要があります。
顔認証でアプリを開ければ、パスキー設定済みですか?
画面ロックの解除やアプリの生体認証と、サービスへのパスキー登録は区別して確認してください。楽天証券側のセキュリティ設定が確認先です。
知らないパスキーがあったら、すべて削除すべきですか?
まず利用端末や作成の心当たりを確認し、不審なら記録を残して公式窓口へ連絡します。すべて削除すると自分がログインできなくなる可能性があります。
通知メールは来ていないので、安全と考えてよいですか?
通知だけでは判断できません。設定状況、受信先、迷惑メール振分けを確認し、公式サイトやアプリの履歴も点検しましょう。
機種変更前に何を確認すればよいですか?
パスキーの保存先、別端末での利用可否、登録電話番号・メール、公式の復旧手順を確認してください。新端末での利用を確かめる前に、唯一の認証手段を消さないようにします。
パスキーを活用しながら、口座全体を点検しよう

楽天証券のパスキー認証は、不正アクセス対策の重要な手段です。その効果を生かすために、登録済みパスキー、通知、利用制限、端末とメールの管理を合わせて確認しましょう。
異変がある場合は、公式窓口での利用制限と連絡が優先です。通常の設定をまとめて見直すなら、楽天証券のNISAで確認したい配当金・積立・パスキーの設定も役立ちます。


