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伊藤園(2593)の株主優待廃止はいつから?優先株(25935)も対象、配当利回りと今期の増配予想を検証

※本記事はプローモーションが含まれています。

伊藤園(証券コード2593)は、2026年9月29日の16時に、株主優待制度を廃止すると発表しました。2026年4月30日を基準日とする株主優待品の贈呈が最後になり、2027年4月30日以降を基準日とする優待は行いません。自社製品の詰合せが届く優待として長く知られてきただけに、普通株式だけでなく、優待があることで人気だった第1種優先株式(証券コード25935)を持つ人にも影響があります。

この記事では、2026年9月30日時点の会社の開示、株式関連情報のページ、株主通信、決算短信をもとに、廃止の中身、優先株式の優待はどうなるのか、優待がなくなったあとの配当利回り、今後の配当の日程を整理します。特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。


先に結論 優待は2026年4月分で終わり、優先株式も対象

項目2026年9月30日時点の内容
発表2026年9月29日(火)16時、取締役会で決議して開示
最後の優待2026年4月30日を基準日とする分(100株以上の株主が対象)
今後の優待2027年4月30日以降を基準日とする優待は実施しない
優先株式(25935)優待は普通株式・優先株式それぞれに贈る一つの制度で、その制度そのものが廃止された
廃止の理由公平な利益還元のあり方を検討した結果、配当等による利益還元の充実と中長期的な企業価値向上に経営資源を集中するため
配当今期(2027年4月期)の予想は普通株式52円、優先株式66円。9月30日時点で配当予想の修正は発表されていません
利回りへの影響9月30日終値で100株なら、普通株式は0.49%、優先株式は0.83%分の優待利回りがなくなる

2026年4月30日時点で株主だった人には、2026年分の優待品がすでに送られています。これから株を持っても、優待品はもう届きません。一方で配当は続き、今期は普通株式・優先株式とも増配の予想です。

9月29日の開示の中身

伊藤園が9月29日に出した「株主優待制度の廃止に関するお知らせ」は1ページの短い開示です。書かれている内容をまとめると次のとおりです。

項目開示の内容
決議2026年9月29日の取締役会
これまでの目的日頃の支援への感謝と、製品や事業活動への理解を深めてもらうため
廃止の理由株主への公平な利益還元のあり方を慎重に検討し、配当等による利益還元の充実および中長期的な企業価値向上に経営資源を集中することが適切と判断した
廃止の時期2026年4月30日を基準日として、株主名簿に記載された100株以上の株主への優待品の贈呈をもって廃止
今後2027年4月30日以降を基準日とする株主優待制度は実施しない

会社の株主優待品のページも同じ日に書き換えられ、2026年4月30日基準の優待をもって制度を廃止したこと、2027年4月30日基準とそれ以降の優待は行わないことが載っています。開示には、配当を増やす具体的な数字や自己株式の取得は書かれていません。9月30日時点でも、配当予想の修正は発表されていません。

廃止までの流れ 2026年の主な開示

2026年に入ってからの伊藤園の主な開示と予定を並べると、優待の廃止は、減損と業績の見直し、自動販売機事業の再編、今期の増配予想のあとに出てきたことが分かります。

日付できごと
2026年1月27日自動販売機事業の減損損失の計上と、2026年4月期の業績予想の下方修正を発表
2026年4月30日最後の株主優待の基準日
2026年5月株式会社伊藤園ネオスが発足(自動販売機事業を統合)
2026年6月1日2026年4月期の決算を発表。今期の配当予想を普通株式52円、優先株式66円と公表
2026年7月24日第61回定時株主総会
2026年7月27日株主通信「株主の皆様へ 2026年4月期」を発送。優待制度の案内も載っていた
2026年7月下旬〜8月上旬最後の株主優待品を発送
2026年9月1日第1四半期決算を発表。業績予想と配当予想は据え置き
2026年9月29日株主優待制度の廃止を発表
2026年10月28日中間配当の権利付最終日
2026年12月1日第2四半期決算の発表予定

7月の株主通信には優待制度の案内が載っていましたが、その2か月後に廃止が発表されました。自動販売機事業の統合は、1月27日に減損と同じ日に発表された簡易吸収分割によるものです。次の節目は、12月1日に予定されている第2四半期決算の発表です。

廃止前の優待の中身

2026年7月27日に出た株主通信「株主の皆様へ 2026年4月期」には、最後になった優待の内容が載っています。

保有株数(4月30日時点)優待品相当額
100株以上1,000株未満自社製品詰合せと、伊藤園通信販売「健康体」のパンフレット1,500円相当
1,000株以上自社製品詰合せと、伊藤園通信販売「健康体」のパンフレット3,000円相当
100株未満対象外ー

優待は年1回で、4月30日時点の株主名簿に載っている100株以上の株主に贈られていました。株主通信では、8月中旬までを目安に届け、初回の発送に間に合わない場合は9月に一斉に再送すると案内していました。株主通信のアンケートには「株主優待もいただけて助かります」という声も載っており、個人株主に親しまれていた優待でした。

優先株式の優待はどうなるのか

株主通信には、優待は「普通株式または優先株式のそれぞれの保有株式数に対し」贈ると書かれていました。つまり、普通株式を100株、優先株式を100株持っていた人には、それぞれに1,500円相当、合わせて3,000円相当の優待品が届いていたことになります。

株式の種類2026年4月30日基準まで2027年4月30日基準から
普通株式(2593)100株以上で1,500円相当、1,000株以上で3,000円相当なし
第1種優先株式(25935)普通株式と同じ基準で、優先株式の株数に対して贈呈なし
両方を100株ずつ合わせて3,000円相当なし

9月29日の開示は、株式の種類を分けずに「株主優待制度を廃止」としています。優待は普通株式と優先株式に共通の一つの制度だったので、優先株式だけ優待が残るわけではありません。なお、優先株式の説明ページには9月30日時点でも優待に触れた一文が残っていますが、優待品のページでは制度の廃止が明記されています。


第1種優先株式(25935)とはどんな株か

伊藤園の第1種優先株式は、2007年9月に当時の東京証券取引所第一部に上場しました。その際、普通株式1株につき0.3株の割合で、優先株式が無償で割り当てられています。会社の「優先株について」のページに書かれている主な違いは次のとおりです。

項目第1種優先株式(25935)普通株式(2593)
議決権なし(一定の場合に発生することがある)あり
配当普通配当の1.25倍(小数第一位を切り上げ、下限15円)普通配当
普通株式が無配のとき1株15円の優先配当なし
未払いの配当累積する累積しない
普通株式への転換株主の意向での転換はない。合併や株式の50%超を取得する公開買付などのときに、会社が普通株式1株と引き換えに取得することがあるー
売買単位100株100株
株主数(2026年4月30日)9万6,388名10万7,161名

今期の予想でいえば、普通株式の中間配当26円の1.25倍は32.5円で、切り上げて33円が優先株式の中間配当になります。年間では普通株式52円に対して優先株式66円です。9月30日の終値は優先株式1,802円、普通株式3,074円で、優先株式の株価は普通株式の58.6%にとどまります。株価が安いのに配当が多いため、配当利回りは優先株式が普通株式の約2.2倍です。その代わり、優先株式には議決権がありません。

株主の構成 優先株式は個人が約6割

優待の廃止で影響を受ける株主の顔ぶれは、会社の株式基本情報にある所有者別の比率から分かります。2026年4月30日時点の数字です。

所有者普通株式優先株式
個人・その他37.09%59.80%
その他法人33.64%27.80%
外国法人等13.76%9.45%
金融機関14.28%2.43%
証券会社1.22%0.52%

優先株式は株数の約6割を個人などが持っており、普通株式より個人の割合が高くなっています。株主数も優先株式だけで9万6,388名います。優待の廃止は、こうした個人株主の多い優先株式でより身近な変化といえます。

配当の推移と今期の予想

会社の配当方針は、株主への利益還元を最重要課題のひとつとし、安定的な利益配分を基本として配当を続けるというものです。配当情報のページと決算短信の数字を並べます(年度は5月から翌年4月まで)。

年度普通株式(年間)優先株式(年間)補足
2021年度40円50円実績
2022年度40円50円実績
2023年度42円54円実績
2024年度44円56円実績
2025年度(2026年4月期)48円60円実績。中間と期末で半分ずつ
2026年度(2027年4月期)52円66円予想。中間26円・33円、期末26円・33円

今期の予想は、前期と比べて普通株式が8.3%、優先株式が10.0%の増配です。この予想は2026年6月1日の決算発表で示され、9月1日の第1四半期決算でも修正されていません。今期の予想1株利益は普通株式で95.44円なので、配当性向は54.5%です。会社は、配当に自己株式の取得を加えた総還元性向も公表しており、2025年度は170.4%でした。

総還元性向の推移 配当と自己株式の取得

会社は配当情報のページで、配当に自己株式の取得を加えた「総還元性向」を公表しています。計算式は、配当の支払総額(普通株式と優先株式)と自己株式の取得額の合計を、当期純利益で割ったものです。

年度総還元性向読み方
2021年度44.5%利益の半分弱を株主に還元
2022年度40.1%同上
2023年度52.7%利益の半分ほどを還元
2024年度(2025年4月期)144.0%普通株式の配当性向37.4%を大きく上回り、自己株式の取得が多かった年
2025年度(2026年4月期)170.4%減損で純利益が34億6,600万円に減ったため、比率が高く出ている

総還元性向が100%を超えると、その年の利益より多くを株主に返したことになります。2025年度の数字は、還元を大きく増やしたというより、分母の純利益が減損で小さくなった影響が大きい点に注意が必要です。今期は純利益が114億3,000万円に戻る予想で、配当性向は54.5%です。優待をやめた分を配当や自己株式の取得でどう返すかは、今後の開示で確かめることになります。

優先株式を持つときの注意点

優待がなくなったあと、優先株式は「配当の多さ」で選ぶ株になります。会社の説明ページから、持つ前に知っておきたい点をまとめます。

注意点内容
議決権がない株主総会で議決権を使えない(一定の場合に議決権が生じることはある)
会社による取得会社が消滅する合併、完全子会社になる株式交換・株式移転、普通株式の50%超を取得する公開買付、優先株式の上場廃止のときは、会社が普通株式1株と引き換えに取得することがある
株価の水準9月30日終値で普通株式の58.6%。取得の対象になった場合は普通株式1株と同じ扱いになる
分割や併合株式の併合は普通株式と同時に同じ割合で行う。分割も両方に同じ割合で行う
配当の決まり方普通配当に連動する。普通配当が減れば優先配当も減るが、無配でも15円が支払われ、未払い分は累積する

優先株式の配当は普通配当の1.25倍に決まっているため、普通配当が増えれば一緒に増えます。一方で議決権がないことは、普通株式との大きな違いです。


優待がなくなると利回りはどう変わるか

9月30日の終値で、配当は今期の予想、優待は廃止前の相当額で計算しました。いずれも税引前です。

株式と株数購入額配当利回り(予想)なくなった優待利回り廃止前の合計
普通株式100株307,400円1.69%0.49%2.18%
普通株式1,000株3,074,000円1.69%0.10%1.79%
優先株式100株180,200円3.66%0.83%4.50%
優先株式1,000株1,802,000円3.66%0.17%3.83%

影響がいちばん大きいのは、少ない資金で買える優先株式を100株だけ持つ人です。優待の分として0.83%がなくなり、合計の利回りは4.50%から配当だけの3.66%になります。普通株式100株では2.18%から1.69%です。1,000株以上持つ人は、優待の相当額が倍になる一方で投資額が10倍になるため、影響は0.10〜0.17%にとどまります。

なお、今期の増配(普通株式は4円、優先株式は6円)は、100株あたりの年間配当を400円、600円増やします。優待の1,500円相当には届かないため、100株の株主にとっては受け取りの合計が減ります。

受け取りの変化をケース別に試算

持ち方によって、優待の廃止で受け取りがどれだけ減るかは違います。今期の配当予想と廃止前の優待の相当額を足した「廃止前の年間の受け取り」と、配当だけになった「これからの年間の受け取り」を、9月30日の終値で比べました。

持ち方購入額(9月30日終値)廃止前の年間の受け取りこれからの年間の受け取り(配当のみ)減る割合
普通株式100株307,400円6,700円5,200円22.4%
優先株式100株180,200円8,100円6,600円18.5%
両方を100株ずつ487,600円14,800円11,800円20.3%
普通株式1,000株3,074,000円55,000円52,000円5.5%
優先株式1,000株1,802,000円69,000円66,000円4.3%

金額はいずれも税引前で、優待は相当額で計算しています。100株だけ持つ人は受け取りが2割前後減り、1,000株以上の人は5%前後の減少にとどまります。普通株式と優先株式を100株ずつ持って優待を2つ受け取っていた人は、3,000円相当がまとめてなくなります。

配当利回りを市場の平均と比べる

優待がなくなれば、判断の材料は配当が中心になります。日本取引所グループが毎月公表している株式平均利回りのうち、2026年8月のプライム市場の数字と比べました。

比べるもの利回りプライム市場の有配会社平均との差
プライム市場 単純平均(2026年8月)2.17%ー
プライム市場 有配会社平均(2026年8月)2.21%基準
プライム市場 加重平均(2026年8月)1.91%ー
伊藤園 普通株式(今期予想、9月30日終値)1.69%0.52ポイント低い
伊藤園 優先株式(今期予想、9月30日終値)3.66%1.45ポイント高い

普通株式の配当利回りはプライム市場の平均を下回り、優先株式は平均を上回ります。有配会社平均は、配当を出している会社だけの利回りの平均です。月ごとに数字が変わるので、最新の値は日本取引所グループのページで確かめてください。高配当株と配当の必要額の考え方は配当金で月3万円に必要な元本の記事でも試算しています。

9月30日の株価の反応

発表は9月29日の取引終了後だったため、市場で反応したのは翌日の9月30日です。普通株式は株探の時系列、優先株式は伊藤園のIRページから案内されている野村證券の株価ページで確認しました。

項目普通株式(2593)優先株式(25935)
9月29日の終値3,046円1,808円
9月30日の始値3,023円1,768円
9月30日の安値2,978円(前日比2.23%安)1,765円(前日比2.38%安)
9月30日の終値3,074円(前日比0.92%高)1,802円(前日比0.33%安)
出来高827,000株(前日の約2.6倍)418,300株(前日の約12.1倍)

両方とも前日の終値より安く始まり、一時は2%あまり下げましたが、その後は戻し、普通株式は前日より高く、優先株式もほぼ前日並みで取引を終えました。目立つのは優先株式の出来高で、前日の10倍を超える株数が売買されました。発表をきっかけに、優先株式の売り買いが大きく膨らんだことが分かります。

業績 前期は減損で純利益が大きく減った

伊藤園の直近の業績は次のとおりです。

項目2026年4月期(実績)2027年4月期(会社予想)2027年4月期 第1四半期(5〜7月)
売上高4,978億7,700万円(5.3%増)5,000億円(0.4%増)1,351億8,000万円(3.3%増)
営業利益216億8,400万円(5.6%減)200億円(7.8%減)102億円(22.0%増)
親会社株主に帰属する当期純利益34億6,600万円(75.5%減)114億3,000万円(229.7%増)65億5,900万円(14.8%増)

前期の純利益が大きく減ったのは、自動販売機事業の資産について減損損失を計上したためです。2026年1月27日の開示によると、自動販売機事業を子会社に引き継ぐのに合わせて資産の区分を見直した結果、コスト上昇と販売数量の低下で収益性が落ちていると判断し、連結で135億9,400万円の減損損失を計上する見込みとしていました。今期は第1四半期の時点で、営業利益が通期予想の51.0%、純利益が57.4%まで進んでいます。

事業の現状 海外展開と自動販売機事業の再編

株主通信「株主の皆様へ 2026年4月期」で会社が示している事業の取り組みのうち、主なものは次のとおりです。

取り組み内容(株主通信)
海外展開「お~いお茶」を2026年4月期に52の国・地域で販売。2029年までに60以上、2041年4月期に100以上の国・地域への展開を目指す
海外の拠点2026年4月にインドに現地子会社を設立。ヨーロッパでは現地法人の設立2年目で黒字化
自動販売機事業伊藤園とグループ会社ネオスの自動販売機事業を統合し、株式会社伊藤園ネオスとして2026年5月に発足
原料抹茶の世界的な需要拡大などを背景に茶価が高い水準で推移しており、抹茶の供給体制も強化する

前期に減損を計上した自動販売機事業は、子会社への統合で効率化を進める段階にあります。会社は優待をやめる理由に「中長期的な企業価値向上に経営資源を一層集中する」ことを挙げており、株主通信ではこうした構造改革と海外展開を成長の柱に据えています。

今後の配当の日程

優待はなくなりましたが、配当は中間(10月31日基準)と期末(4月30日基準)の年2回です。直近の中間配当の日程は次のとおりです。

日付内容
10月28日(水)中間配当の権利付最終日。取引終了(15時30分)までに買って持っていれば対象
10月29日(木)権利落ち日
10月31日(土)中間配当の基準日(普通株式26円、優先株式33円の予想)
2027年1月中旬中間配当の支払い(会社の案内による時期)
2027年4月30日期末配当の基準日。これまでは優待の基準日でもあったが、今後は優待なし
2027年7月下旬期末配当の支払い(会社の案内による時期)

9月30日から中間配当の権利付最終日までは28日です。10月31日は土曜日なので、受け渡しの済む最後の営業日の10月30日(金)から数えて、2営業日前の10月28日が権利付最終日になります。楽天証券の配当・優待カレンダーでも、10月末基準は10月28日(水)の15時30分までの購入とされています。

税金 配当は20.315%、優先株式の配当も同じ

項目課税口座(特定口座など)NISA口座
普通株式・優先株式の配当20.315%(所得税と復興特別所得税15.315%、住民税5%)が源泉徴収される受取方法を株式数比例配分方式にしていれば非課税
これまでの株主優待雑所得として扱われていたNISAでも非課税の対象外だった

優先株式も上場株式なので、配当の税金は普通株式と同じです。NISAで配当を非課税にするには、証券会社の口座で配当を受け取る株式数比例配分方式を選んでおく必要があります。優待がなくなることで、優待品を雑所得として考える必要もなくなります。

優待の廃止は増えている

株主優待をやめて配当などに還元を寄せる動きは、伊藤園だけではありません。東京商工リサーチが2026年2月25日に公表した調査によると、2025年に優待の廃止を発表した上場企業は68社でした。

項目(2025年、東京商工リサーチの調査)社数
優待の導入(再導入を含む)175社
優待の廃止68社
うちTOBやMBOなどによる上場廃止に伴う廃止38社
上場を続けたまま廃止30社

調査は、2022年4月の東証の市場区分の見直しをきっかけに、優待が海外の投資家を呼び込む妨げになると判断して廃止する企業が出てきたとしています。伊藤園が理由に挙げた「公平な利益還元」について、会社は詳しい説明をしていません。ただ、上の利回りの表のとおり、優待の相当額は保有株数に比例しないため、100株の株主と1,000株の株主では、投資額に対する受け取りの割合が大きく違っていました。一方で、個人株主を増やすために優待を新しく始める企業も多く、導入の数は廃止を大きく上回っています。優待株の選び方と注意点は高配当株・優待株・成長株のポートフォリオの記事でも取り上げています。

株主が確認しておきたいこと

確認すること理由
持っているのが普通株式か優先株式か配当額が違う(今期予想は52円と66円)。優待はどちらもなくなる
持ち続ける理由が優待だったか優待が目的だったなら、配当だけで見た利回りで考え直す必要がある
配当の受取方法NISAで持つなら株式数比例配分方式でないと配当に課税される
2026年分の優待品が届いたかIRカレンダーでは2026年7月下旬〜8月上旬に発送。株主通信では9月の一斉再送も案内されていた。届かない場合は会社の問い合わせ窓口へ
今後の開示会社は配当等による還元の充実を掲げている。2026年12月1日に予定されている第2四半期決算の発表などで、配当や自己株式の取得の発表がないかを確かめる

よくある誤解と正しい情報

よくある誤解会社の開示の内容
2026年4月分の優待ももらえない2026年4月30日を基準日とする分が最後で、この分は贈呈された。なくなるのは2027年4月30日基準から
優先株の優待だけは残る優待は普通株式・優先株式に共通の一つの制度で、制度そのものが廃止された
優待廃止と同時に増配を発表した9月30日時点で配当予想の修正は発表されていません。今期の予想は6月1日の決算発表時点のまま
優先株は普通株と同じ配当優先株式の配当は普通配当の1.25倍(小数第一位切り上げ、下限15円)


よくある質問

伊藤園の株主優待はいつ廃止されますか?

2026年4月30日を基準日とする優待品の贈呈をもって廃止されました。2027年4月30日以降を基準日とする優待は行われません。

2026年4月分の優待品はもらえますか?

2026年4月30日時点で100株以上を持っていた人は対象です。株主通信では、8月中旬までを目安に届け、間に合わない場合は9月に再送すると案内されていました。

優先株式(25935)の優待はどうなりますか?

なくなります。優待は普通株式・優先株式それぞれの保有株数に対して贈る一つの制度で、その制度が廃止されました。

廃止の理由は何ですか?

会社は、株主への公平な利益還元のあり方を検討した結果、配当等による利益還元の充実と中長期的な企業価値向上に経営資源を集中するためとしています。

優待廃止にあわせて増配はありましたか?

9月30日時点で配当予想の修正は発表されていません。ただし、今期の配当はもともと普通株式52円、優先株式66円と増配の予想です。

廃止前の優待はどんな内容でしたか?

4月30日時点で100株以上1,000株未満なら1,500円相当、1,000株以上なら3,000円相当の自社製品詰合せと、通信販売「健康体」のパンフレットでした。

優先株式と普通株式の配当の違いは?

優先株式の配当は普通配当の1.25倍で、小数第一位を切り上げ、下限は15円です。今期の予想は中間で普通株式26円に対して優先株式33円、年間で52円に対して66円です。

優待がなくなると利回りはどれくらい下がりますか?

9月30日終値で100株なら、普通株式は0.49%、優先株式は0.83%分の優待利回りがなくなります。配当利回りは普通株式1.69%、優先株式3.66%です(税引前、今期予想で計算)。

中間配当をもらうにはいつまでに買えばいいですか?

中間配当の基準日は10月31日(土)で、権利付最終日は10月28日(水)です。この日の取引終了までに買って持っている必要があります。

優先株式に議決権はありますか?

ありません。株主総会での議決権はない代わりに、普通株式より多い配当を受け取れる仕組みです。一定の場合に議決権が生じることがあると会社は説明しています。

普通株式が無配になったら優先株式の配当はどうなりますか?

普通株式が無配の場合でも、優先株式には1株あたり15円の優先配当が支払われます。支払われなかった分は累積します。

優先株式が普通株式に変わることはありますか?

株主の意向で転換することはできません。会社が消滅する合併や、普通株式の50%超を取得する公開買付、優先株式の上場廃止などのときに、会社が普通株式1株と引き換えに優先株式を取得することがあります。

優待の廃止で株価は下がりましたか?

発表翌日の9月30日は、普通株式が一時2.23%安、優先株式が一時2.38%安まで下げましたが、終値は普通株式が0.92%高、優先株式が0.33%安でした。優先株式の出来高は前日の約12.1倍に増えました。

優待がなくなっても株主として受け取れるものは?

年2回の配当と、株主通信「株主の皆様へ」です。今期の配当予想は普通株式で年52円、優先株式で年66円です。

株主通信は今後も届きますか?

優先株式の説明ページでは、優先株式の株主も普通株式と同じように株主通信「株主の皆様へ」を受け取れるとしています。IRカレンダーでは、中間配当の支払いと期末配当の支払いにあわせて発送しています。

1,000株以上持っていた人への影響は?

1,000株以上では3,000円相当の優待がなくなります。9月30日終値で計算すると、優待の分の利回りは普通株式で0.10%、優先株式で0.17%で、100株の株主より影響は小さくなります。

伊藤園の配当利回りは高いほうですか?

今期予想と9月30日終値で見ると、普通株式は1.69%で2026年8月のプライム市場の有配会社平均2.21%を下回り、優先株式は3.66%で平均を上回ります。

前期の利益が大きく減ったのはなぜですか?

自動販売機事業の資産について、連結で135億9,400万円の減損損失を計上する見込みと2026年1月27日に発表したためです。今期の純利益は114億3,000万円と大きく戻る予想です。


まとめ

伊藤園は2026年9月29日、株主優待制度の廃止を発表しました。2026年4月30日を基準日とする分が最後で、2027年4月30日以降の優待はありません。優待は普通株式と優先株式それぞれに贈る一つの制度だったため、優先株式(25935)の優待もなくなります。

9月30日終値で見ると、100株の株主は普通株式で0.49%、優先株式で0.83%分の利回りを失いますが、配当は今期も増配予想で、普通株式52円、優先株式66円です。会社は今後、配当などによる還元に力を入れるとしており、9月30日時点では配当予想の修正は出ていません。優待がなくなったあとは、配当利回りと業績の回復、今後の還元策の発表を見て判断することが大切です。この記事は2026年9月30日時点の情報で、売買を推奨するものではありません。

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